「小泉内閣時代から一転 資料提出に後ろ向きな安倍内閣」

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以下、朝日新聞デジタル版(2019/12/7 9:00)から。

 「桜を見る会」の招待者名簿などをめぐり、政府が共産党議員の資料要求に応じなかった問題で、菅義偉官房長官の説明と小泉政権下の政府の答弁書とのずれが目立っている。

 共産党議員は5月9日、桜を見る会に関する資料を要求した。政府の説明によると、その約1時間後、内閣府は招待者名簿を廃棄し、電子データも同7~9日にかけて削除したという。内閣府幹部も同21日の国会で「破棄させていただいた」と答弁していたが、今月になってデータは最長8週間、バックアップデータとして保管される仕組みであることが判明した。

 菅氏は今月の記者会見で「バックアップデータは行政文書ではない」「行政文書でないものについては対応しない」と内閣府の対応を正当化。要求直後に原本となる紙媒体や電子データが廃棄され、行政文書が存在しなくなったとして、対応する必要はなかったとの認識を示していた。

 ただ、小泉内閣が2001年と02年に閣議決定した答弁書では、情報公開法の開示対象は行政文書に限られるが、国会議員の資料要求では行政文書が存在しなくても新たに作成して対応することがあると明記。情報公開法が定める個人情報などの不開示情報に当たるかどうかを参考にしつつ「可能な限り協力する」と国会側の要求に積極的に応じる姿勢を示していた。

 菅氏は6日の記者会見で、自身の説明と答弁書のずれについて「今回の案件とは違う」。バックアップデータが行政文書かどうかに関係なく、名簿を復元して提出できたのではとの問いにも、「決められたルールに基づいて適切に廃棄した。資料要求には適切に対応した」と繰り返した。

 内閣法制局の関係者は「国政調査権に基づく衆参の院や委員会からの要求と違い、個々の議員からの資料要求に応じる法令上の義務はない。応じるかどうかは政府に裁量があり、応じなかったからと言って非難されるいわれはない」と強調する。

 安倍政権下では、第1次安倍内閣の06年に、国会議員からの資料要求について「可能な限り協力すべきものであるが、提供しなければならないとする法令の定めがあるわけでなく、相当の理由がある場合には、要求を受けた行政機関において判断の上、要求に応じないことも許される」との答弁書閣議決定していた経緯もある。

 共産党小池晃書記局長は朝日新聞の取材に対し、「行政が持つ情報は国民の財産であり、国民を代表する国会議員の求めは国民の求めだ。小泉内閣答弁書は極めてまっとう。安倍内閣がその場しのぎの取り繕いを重ねた結果、矛盾が表出している」と語った。(二階堂友紀、安倍龍太郎

内閣府に報道対応の専用窓口開設
 「桜を見る会」の問題で、会の運営などを担う内閣府は6日、報道対応の専用窓口を開設した。国会質疑などで会が注目された11月上旬以降、多忙や担当者の不在などを理由に取材に応じなかったり、折り返し連絡もなかったりすることも多い。菅義偉官房長官の記者会見で、情報技術などを含む詳細な質問が増え、菅氏が「事務方に聞いてほしい」としても同府は十分に対応せず、報道陣から改善要求が出ていた。窓口の担当者は6日、「できるだけ真摯(しんし)に応じていく」と話した。

 内閣府は、加計学園の問題が報じられていた2017年4月にも、国家戦略特区の担当部署などが入る庁舎の取材記者の入館を一時、許可制に変更した。