以下、朝日新聞デジタル版(2019/12/17 15:03)から。
学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却額や、地中ごみの存在などが記された特約条項を一時不開示とされ精神的苦痛を受けたとして、木村真・大阪府豊中市議が国に11万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、大阪高裁であった。中本敏嗣裁判長は、売却額や特約条項の不開示を違法と判断。国に3万3千円の賠償を命じた一審・大阪地裁判決を変更し、全額の支払いを命じた。
一審判決は売却額の不開示のみを違法とし、特約条項の不開示は適法と判断していた。高裁判決はさらに踏み込み、情報開示に消極的だった国の姿勢を厳しく批判した形だ。
高裁判決によると、木村市議は2016年9月に売買契約書の開示を求めて情報公開請求した。しかし財務省近畿財務局は「学園の権利、競争上の地位や正当な利益を害するおそれがある」として売却額や特約条項などを不開示とした。
高裁判決はまず売却額の不開示について、13~16年度に売却された国有地の取引104件で今回だけ売却額が非公表だった点をふまえて、「漫然と不開示とした」とした一審判決と同様に違法と判断した。
さらに特約条項の不開示について検討。今回の売却額は近隣地価より格段に安く、「適正な対価なく国有財産を譲渡したのではないかとの疑いが生じうるのだから、価格の客観性を確保するために売買代金額と同等に重要な情報。公表すべき要請は高い」と述べた。
国側は「土壌汚染は保護者に強い心理的嫌悪感を生じさせ、学校の利益が害される」と主張したが、高裁判決は、地下深くのごみが児童の心身に悪影響を及ぼすとは考えにくいと指摘。保護者は地中ごみよりも学校の教育理念や教育方針などを重視するとし、「根拠が薄弱だ」として国側の主張を退けた。
木村市議は17年2月に売却額などの開示を求めて提訴。国が同8月、一転して売却額や特約条項を開示したため、損害賠償請求訴訟に切り替えていた。財務省は「判決の内容を精査するとともに、関係省庁と協議し、今後の対応について検討して参りたい」とコメントした。(米田優人)