以下、朝日新聞デジタル版(2019/12/22 14:00)から。
意図的に論点をずらして答弁したり、回りくどい説明をしたり――。そんな国会での生のやりとりを知ってほしいという思いから、大学教授が始めたのが国会審議の「まちなか上映」だ。全国に広がる取り組みは名付けて、国会パブリックビューイング(PV)。
臨時国会が閉会して8日後の17日の夕刻。東京・新宿駅西口に共産党の田村智子参院議員の声が響いた。
「安倍内閣のモラルハザードが問われているが、私は総理自身の問題を質問します」
地下広場の一角に置かれたのは、四つのスピーカーと高さ2メートルほどのスクリーン。田村氏がテンポよく質問する姿が字幕付きの映像で流れる。11月8日の参院予算委員会。臨時国会後半に連日続いた「桜を見る会」問題追及の発端となった質疑だ。
序盤は閣僚や官僚の答弁が続き、聴衆はまばら。9分経って安倍晋三首相が初めて答弁に立つと、「安倍さんじゃん」と立ち止まる夫婦が現れた。イヤホンをしたままスクリーンに見入る会社員も。1人、また1人と足を止めた。
聴衆が最もわいたのは、桜を見る会を開催するための来年度当初予算の概算要求が、今年度の3倍以上になった理由をただしたやりとりだった。大塚幸寛・内閣府官房長の「テロ対策の強化」という答弁に、田村氏が、事務所の秘書らが受け付けを済ませて手荷物検査をされなかったという首相の後援会の男性の証言をぶつけた。そして、「何が『テロ対策を強めた』ですか」と突っ込んだ。官僚の「迷答弁」ぶりがあらわになり、観客からどっと笑い声があがった。
(後略)
(永田大)