以下、朝日新聞デジタル版(2019年1月17日21時13分)から。
日立製作所が、英国での原発建設計画の凍結を正式に決め、日本が官民で手がける原発輸出計画はすべて頓挫した。東京電力福島第一原発事故後も成長戦略に原発輸出を掲げ、官邸主導で民間を後押ししてきた安倍政権の責任が問われる。
17日夜、会見を開いた日立の東原敏昭社長は「民間企業の経済合理性から凍結を決めた」と述べた。
日立が計画に乗り出したのは2012年。国策として脱原発にかじを切ったドイツの電力会社などから、英国で原発の稼働を予定していた「ホライズン・ニュークリア・パワー」社を900億円弱で買収した。
この間、安倍政権は官邸主導で支援に動いてきた。
英国のメイ首相来日を控えた17年8月、首相官邸に複数の政府関係者が集まった。当時、英原発の建設に向けた英政府との条件交渉が難航し、資金計画に懸念が出ていた。経済産業省資源エネルギー庁の保坂伸次長が「電力会社トップに会って、参加をお願いするように日立に指示した。その上でエネ庁も動かないとおかしなことになる」と報告すると、和泉洋人首相補佐官が「まずは日立に電力会社を当たらせ、エネ庁が裏に回ってうまくやる必要がある」と発破をかけた。
(後略)
笹井継夫、桜井林太郎 内藤尚志、北川慧一 関根慎一