以下、朝日新聞デジタル版(6/7(日) 9:15)から。
米ミネソタ州で白人警官が黒人男性を死亡させた事件をきっかけに、今年3月、自宅に入ってきた警官に黒人女性が銃撃され、亡くなった事件が、米メディアで繰り返し取り上げられている。女性の27歳の誕生日だった5日には、全米各地で追悼集会が開かれた。
亡くなったのはブレオナ・テイラーさん。遺族が銃撃した警官を相手取った訴訟の訴状によると、事件は3月13日に起きた。テイラーさんはケンタッキー州ルイビルの自宅で恋人と就寝していたところ、押し入ってきた警官3人に少なくとも8回撃たれ、死亡した。
一方、警察は麻薬捜査の一環として捜索令状があり、ノックをして警察と告げたにもかかわらず、テイラーさんの恋人から発砲されたと主張。ただ、麻薬捜査の対象者はその時点ですでに身柄を拘束されており、連邦捜査局(FBI)は5月21日、当時の状況を調べると発表した。
訴状によると、テイラーさんは救急救命士で、新型コロナウイルスに感染した患者の対応にもあたっていた。警官による黒人男性殺害事件を受けて続く抗議デモでは、テイラーさんも黒人差別の犠牲者という訴えが広がっている。
誕生日の5日、ニューヨーク市クイーンズ地区で開かれた追悼集会には約200人が集まり、「ハッピーバースデー」を合唱した。高校教師のヤエル・グリックさん(42)は「誰も責任を問われていないことが大きな問題。これまでにどれほど同じようなケースがあったのかと考えるとぞっとする」と話した。(ニューヨーク=藤原学思)