"The Catcher in the Rye"を再読した

 

 

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The Catcher in the Rye

  "The Catcher in the Rye"を再読した。

 今回小説を読んだついでに、よくある教科書ガイドのようなサイトもチェックしてみた。クイズもあったので、やってみた*1。100点満点とまではいかなかったが、かなりできた。これまで何度となく読んだ小説だから当たり前だ。

The Catcher in the Rye: Full Book Quiz | SparkNotes


 小説"The Catcher in the Rye"の冒頭で、主人公は、自分がどこで生まれたか、どんな少年時代だったか、両親は仕事として何をしているかなんて話す気になれないといいながら、話の進行は、主人公Holden Caulfieldが単位未修得から学校をやめることになって、寮制の学校のあるペンシルベニアからニューヨークの実家に向かい、マンハッタンをぶらぶら歩き廻る。だから街そのものが、もちろん登場人物ではないけれど、「ライ麦畑で捕まえて」のキャラクターのような雰囲気がある。

 俺自身これまで何度かニューヨークに行ったことがあるけれど、しょせん外国だから基本的に不案内である。

 気になるのは、小説に出てくる馴染みのない建物など、実在のものなのか、架空のものなのか、わからないということだ。

 それで少し調べてみたら、10年ほど前の記事だが、New York Timesで面白い記事を見つけた。

Taking a Walk Through J. D. Salinger's New York - The New York Times
 
 この記事によれば、たとえば、Holden Caulfieldが娼婦のサニーと出会うホテルのthe Edmont Hotelは実在しないが、この辺ではないかと推測して地図を作成している解説本があるという(Mr. Beidler places the Edmont in the West 50s, between Fifth Avenue and what is now officially known as the Avenue of the d’oh! Americas. In Holden’s day, it was just Sixth Avenue.)。
 グリニッチビレッジのErnie’s nightclubも架空のもののようだ。
 主人公Holden CaulfieldはPency Prepではフェンシングクラブのマネージャーをやっていて、対抗戦のためニューヨークまでフェンシングの道具を運んでいたのに、まぬけなことに道具を地下鉄に置き忘れてしまって試合ができなかったという逸話が第一話に出てくるのだが、そのフェンシングの相手校の名前はさすがに覚えていなかった。

 あらためて読み返してみると相手校はthe McBurney Schoolという学校なのだが、この私立学校は、J.D. Salingerの実際の出身校であるという。

 さらにWikipediaを斜め読みしてみたら、他の出身者では、俳優のRobert De Niro。またテレビによく見たアンカーマンTed Koppelが出た学校だという。

en.wikipedia.org

 実在したThe McBurney Schoolは今はないようで、1980年代に閉じたと記事は紹介している。
 また記事によれば、Holden Caulfieldが女友達Sally Hayesと待ち合わせをしたthe clock at the Biltmoreは、今はオフィスビルに変わったようだ。
 Grand Central Terminal、そしてRadio City Music Hallと、二つのミュージアムは健在だ。
 Hotel Setonも実在している(The Seton Hotel on East 40th Street)。

  だからこのホテルは小説"The Catcher in the Rye"のモデルなのかとよく高校生から聞かれるらしい。この質問に対するホテルのオーナーの答えは、いいえだ。なぜならHotel Setonには、バーがないから*2。これは多少にんまりしてしまう話ではないか。

*1:小説全体と各Chapterごとの細かい出題とがある。

*2:小説では、コロンビア大学に行っている3つ年上のCarl LuceとHoldenが54thにあるWicker Barというバーで酒を飲みながら話をする場面が出てくる。