以下、朝日新聞デジタル版(2020/9/3 9:01)から。
日本の子どもたちは、身体的には健康だが、精神的な幸福度は低い――。こんなデータを、ユニセフ(国連児童基金)が3日に公表した。先進38カ国を比べた調査で、死亡率などが低い一方、今の生活への満足度などが低く、「子どもの幸福度」の総合順位は20位だった。1位はオランダ、2位がデンマーク、3位はノルウェーと、北欧の国が上位を占めた。
調査は、生活の満足度が高いと答えた割合や、自殺率の数値を比較した「精神的幸福度」▽死亡率や、肥満の子ども・若者の割合を比較する「身体的健康」▽読解力や「すぐに友達ができる」と答えた子どもの割合を比較する「スキル」の3項目を、直近の指標から算出(対象は多くが5~19歳)。日本は「身体的健康」で1位となったが、「スキル」が27位、「精神的幸福度」は37位で、ワースト2位だった。例えば、15歳の子どもたちに「今の生活の満足度」を0~10で評価してもらったところ、「5以下」と答えた割合は、日本は4割近かったのに対し、総合1位のオランダでは約1割だった。
子どもの幸福度に関する調査は、前回は2013年に実施。対象国や指標が異なり単純比較はできないが、当時の順位は31カ国中6位と上位だった。
調査の報告書では、子どもたちの幸福度は公共政策や社会情勢、そして子ども自身や保護者のネットワークに影響されると指摘。現在、新型コロナウイルスの感染拡大によって学校が休校になったり、経済や社会に大きな影響が及んだりすることで、子どもたちが長期的にもマイナスな影響を受けかねないと訴えている。
会見に同席した法政大名誉教授で教育評論家の尾木直樹さんは、日本の子どもたちの精神的幸福度の低さについて、「一斉主義で、競争原理に支えられている学校システムの影響も大きいのでは」と分析。受験勉強など、偏差値によって比べられることなどを通じ、子どもの自己肯定感が下がりかねない現状があると指摘した。(中井なつみ)
子どもの幸福度 ランキング
1位 オランダ2位 デンマーク
3位 ノルウェー
4位 スイス
5位 フィンランド
6位 スペイン
7位 フランス
8位 ベルギー
9位 スロベニア
10位 スウェーデン
11位 クロアチア
12位 アイルランド
13位 ルクセンブルク
14位 ドイツ
15位 ハンガリー
16位 オーストリア
17位 ポルトガル
18位 キプロス
19位 イタリア
20位 日本
21位 韓国
22位 チェコ
23位 エストニア
24位 アイスランド
25位 ルーマニア
26位 スロバキア
27位 英国
28位 ラトビア
29位 ギリシャ
30位 カナダ
31位 ポーランド
32位 オーストラリア
33位 リトアニア
34位 マルタ
35位 ニュージーランド
36位 米国
37位 ブルガリア
38位 チリ