以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/6 16:52)から。
日本学術会議の会員任命問題で、加藤勝信官房長官は6日午前の記者会見で、同会議が推薦した6人を任命しなかった理由を聞かれ、「総合的・俯瞰(ふかん)的観点」との表現を繰り返した。
加藤氏は学術会議の目的を「科学の向上発展を図り、行政、産業、国民生活に科学を反映、浸透させる」と紹介。そのうえで、任命について「(会員に)その目的を果たしてもらううえで、総合的・俯瞰的観点から活動を進めてもらいたい」と説明した。
「そうした観点に立って任命しなかった方もいるのか」と問われると、「結果において、そういうことになるんだろうと思う」と答えた。
「総合的・俯瞰的」との表現は約20分間の会見で3回。一方で、任命に至る具体的な経過については、「人事にかかるプロセスであるからコメントは控えさせて頂きたい」と述べるにとどめた。
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日本学術会議の会員の任命除外に関する、6日午前の記者会見の要旨は次の通り。
――菅義偉首相は昨日のインタビューで「総合的・俯瞰的活動を確保する観点から任命についても判断した」と発言したが、具体的に何を指しているのか。
「日本学術会議が科学の向上発展を図り、行政・産業および国民生活に科学を反映、浸透させることが目的とされているわけだから、その目的を果たして頂く上において、総合的・俯瞰的観点からその活動を進めて頂きたいという意味だ」
――任命から除外したのは、こうした観点から外れたと考えるのが合理的だと思うが。
「ですからそれはそうした観点に立って、任命させて頂いた」
――そうした観点から任命したということだが、裏を返せば、そうした観点に立って任命されなかった方もいるのか。
「それは結果において、そういうことになるんだろうと思うが。基本的には任命しないのではなくて、任命するという立場だから、そういった観点に立って任命したということだ」
――首相は学術会議について「現在の会員が後任を指名することも可能」と疑問を呈したが、今回の任命除外とは別の議論なのでは。
「(首相が)そういう疑念というものをお持ちになる中、学術会議の本来の目的に沿って、総合的・俯瞰的に活動して頂く。そのためにどうあるべきなのか、という観点から任命させて頂いたということだ」
――学術会議の人件費は。
「2019年度の会員手当の支給総額は約4900万円、学術会議事務局の常勤職員は50名で、その人件費は3億9千万円。それ以外に例えば旅費等々がのっている」
――学術会議からの推薦名簿について、(任命を求める人数より)多めに示すように求めたことがあるのか。
「これまで定員通りの推薦があがっていた。その間にいろんなやりとりがあったというふうに思うが、これは人事にかかるプロセスであるから、コメントは控えさせて頂きたい」
――委員が後任を指名するとどこが問題か。
「首相はあくまでもそういうことを踏まえてということだ。具体的な運用がどうされているんだろうか、ということでおっしゃったのではないか」
――後任を選ぶ仕組みについて、過去に検討したのか。
「基本的に推薦について一義的には日本学術会議がおやりになる。いろんな議論は当然なされてきていると思う」
――「総合的・俯瞰的活動」について、政府の方針にのっとっていることも含まれるのか。
「おっしゃる趣旨が十分とり切れていないが、まさにそうした目的を達するために総合的・俯瞰的に活動をすることを期待しているわけだから、そうした観点から我々も判断させて頂いている」(菊地直己)