以下、朝日新聞デジタル(2020/10/6 20:38)から。
日本学術会議の会員任命問題で、映画人の有志22人が「抗議声明」を発表した。脚本家の井上淳一さんらとともにとりまとめの中心となった森達也監督は、ある言葉を声明文に盛り込むよう提案したという。
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井上淳一、(脚本家の)荒井晴彦、(映画監督の)白石和彌と私の4人で、ここ数カ月間、コロナ禍で苦しむ映画館のために「ミニシアター押しかけトーク隊」という活動をやってきました。井上から今回の問題について「抗議声明を出すべきだ」と提案がありました。4人で知り合いの映画人に声をかけ、2日間で22人が賛同してくれました。みんな思想的にはバラバラです。しかし「これは危ない」という意識は一致しています。
私は声明の中に、ドイツの牧師マルティン・ニーメラーの次の言葉を入れたらどうかと提案しました。
「ナチスが共産主義者を攻撃し始めたとき、私は声をあげなかった。なぜなら私は共産主義者ではなかったから。次に社会民主主義者が投獄されたとき、私はやはり抗議しなかった。なぜなら私は社会民主主義者ではなかったから。労働組合員たちが攻撃されたときも、私は沈黙していた。だって労働組合員ではなかったから。そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声をあげる人は一人もいなかった」
この著名な警句が、これほどリアルな意味を持つ時代が来たことに私は驚いています。
(後略)
(聞き手・石飛徳樹)