以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/7 22:11)から。
日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかった問題で、初の国会質疑が7日の衆院内閣委員会で行われた。菅義偉首相が6人を除外した判断の基準や理由が最大の焦点だが、政府側は「総合的・俯瞰(ふかん)的」という抽象的な表現を繰り返して、具体的に説明しようとしなかった。野党側は26日からの臨時国会でも追及する構えだ。
「大変驚愕(きょうがく)した」。政府側の答弁者として出席した内閣府日本学術会議事務局の福井仁史局長は、会員候補6人を除外する官邸の決定を知らされた時の心境を、こう表現した。
これまで会議が正式に推薦した候補者を首相が任命しなかった例はなかった。それだけに菅首相がどういう判断基準で除外したかが最大の焦点となっている。
菅首相は5日の内閣記者会のインタビューで「(学術会議の)総合的・俯瞰的な活動を確保する観点から、今回の任命について判断した」と語った。
委員会でも政府側は、この発言に沿って、「総合的・俯瞰的」というあいまいな説明に終始。これには与党からも批判の声が上がった。公明党の太田昌孝氏は「耳になじまない表現で、国民になかなか伝わっていない」と苦言を呈した。
内閣府の三ツ林裕巳副大臣は新たに「業績にとらわれない広い視野に立って活動を進めていただく必要があるということ」との説明を加えた。業績だけではない、何らかの要素を考慮して、首相が人選したことを示唆した形だ。
これに対し、立憲民主党の今井雅人氏は「(除外された6人は)専門性はあるが、人間的に問題があるということか」「選に漏れた方たちの名誉に関わる」と詰め寄った。
さらに、安倍政権が進めた安全保障法制に反対する考えを表明した学者も6人の中に含まれることから、関連性も追及した。しかし、政府側は「総合的・俯瞰的」を10回以上繰り返して具体的な説明を避けた。
(後略)