以下、朝日新聞デジタル版(2020/11/24 19:27)から。
バイデン次期米政権への移行に向けた動きが23日、本格化した。連邦政府がこれまで拒んでいた、政権移行の手続き開始をバイデン陣営に伝え、トランプ大統領も大統領選の結果をめぐる法廷闘争を継続しつつ、政権移行への協力を容認する考えを示した。また、バイデン氏はこの日、閣僚候補の第1弾を公表した。
大統領選では7日にバイデン氏の勝利が確実になったが、トランプ氏は「不正があった」と主張して敗北を認めていない。連邦政府資産を管理する一般調達局(GSA)も、政権移行に向けた手続きを始めていなかったため、バイデン陣営は政府機関の当局者にもアクセスできず、2週間以上にわたって異例の空白期間が生じていた。
GSAのエミリー・マーフィー長官は23日、バイデン氏に書簡を送付。大統領選の勝者の判断についての明言は避けつつ、連邦政府として政権移行に必要な資金や協力を提供する方針を伝えた。トランプ氏もツイッターへの投稿で、マーフィー氏らに「最初の手順について必要なこと」をするよう提言したと明らかにした。ただ、トランプ氏は「我々は健闘している。勝つと信じている!」とも記し、選挙結果をめぐる訴訟を続ける考えを強調した。
一方、バイデン氏はこの日、外交安全保障担当の閣僚候補らを発表。国務長官には側近のアントニー・ブリンケン元国務副長官、気候問題担当の大統領特使にはジョン・ケリー元国務長官を指名した。実務経験を重視したメンバーからは、トランプ氏が掲げた「米国第一」から決別し、国際協調と同盟重視の姿勢を示す狙いが浮かぶ。米メディアは、バイデン氏が財務長官にジャネット・イエレン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長を起用する方針だと報じており、政権発足に向けた準備が加速している。(ワシントン=園田耕司、青山直篤)