「GoTo延長、政府の思惑は 「オリパラまでなんとか」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/12/3 12:23)から。

 政府の観光支援策「Go To トラベル」が、来年6月ごろまで延長される見通しになった。1月末をメドとされている終了時期を5カ月程度延ばすのは、東京五輪パラリンピックの開幕や夏の観光シーズンで観光需要が持ち直すまで、下支えが必要と政府がみていることがある。

 官邸幹部は3日、「1月や3月までにトラベルを終えられる環境にはない。オリパラまでに経済をなんとかしないといけない」と語った。トラベルの延長は、政府が8日に取りまとめる緊急経済対策の柱の一つとして盛り込まれる。11月10日に菅義偉首相が経済対策の策定などを閣僚に指示する前から、与党や経済界などから延長をめぐってさまざまな要望が出ていた。

 年度末の来年3月末まで、4、5月の春の大型連休明けまでなどの案もあったが、政府は延長幅は6月ごろまでとする方針だ。政府関係者の一人は「春の大型連休明けでトラベルがなくなると、駆け込み需要の後に『旅行控え』の反動が起きる恐れがある」と説明する。7月以降はオリパラなどで一定の旅行需要が見込めるため、大型連休後の「谷間」をなくすための「エンジン」にしたいとの考えだ。

 ただ、新型コロナウイルス感染症対策では巨額の支出をしており、1兆円を超えるトラベル事業の是非をめぐっては、国の財政問題も含めさまざまな声がある。このため、政府は旅費の35%を割り引く今の仕組みは春ごろまでは維持しつつも、段階的に補助を引き下げていく案などを検討中だ。今後の感染状況や経済情勢などを踏まえ、年度内に具体的な引き下げの時期などを判断する方向だ。

 足元では、新型コロナの感染者が大都市部を中心に再び急増している。札幌や大阪の2市を目的地とする旅行が一時的に対象外になっているほか、2市や東京都の住民の利用についても自粛が呼びかけられている。感染症や経済の専門家らでつくる政府分科会も、トラベルの早急な見直しの検討を提言する。

 トラベル事業をめぐっては、世論の評価も割れる。朝日新聞が11月14、15の両日に実施した世論調査では、トラベルの期間延長に「賛成」は37%にとどまり、「反対」が51%だった。今後の感染者数の推移や世論の動向によっては、終了時期を含めてトラベルの運用を政府内で再び見直す可能性もある。