以下、朝日新聞デジタル版(2020/12/27 9:30)から。
外で思い切り体を動かし、友達と楽しく遊ぶことは、子どもの心や体の健康や成長のために大切です。新型コロナウイルスの第3波の感染が拡大する中で、どんなことに気をつけて運動をすればいいのでしょうか。日常生活の中で体を動かすヒントや感染対策への考え方について、子どもも大人も知りたいことを聞いてみました。
「苦手でも運動好きな子に」 元NHK・Eテレの体操のお兄さん 小林よしひささん
新型コロナウイルスの影響で公園などで初めて会う子ども同士の触れ合いが少なくなっています。感染予防はもちろん大事ですが、互いを危険視してしまっている気がします。
遊びの要素の一つにコミュニケーションがあります。ふれあい、笑い、大声をかけ合う。そこに制限がかかると遊びのいい部分が半減してしまうのは事実としてあります。アフターコロナで、どんどん遊びの自由さ、場所が減ってしまうのが心配です。
子どもはそもそも体を動かすことが好きなはずです。小さい時、何も言わなくても、走り回ったり、跳び回ったりしますよね。心や体の中にそれが楽しいという本能があるからだと思うんです。
でも、年齢が上がると、運動好きとそうじゃない子で二極化してしまう。体を動かすとスッキリする、健康でいられる、という知識や経験があれば、運動が苦手でも運動する子になると思っています。だから、私はそういう子たちを大切にして、丁寧に接したい。自我が芽生える3歳のころ、スポーツというより、体を動かす遊びをすることが大切になります。
スポーツとして、能力を競い合うこともあっていいと思います。でも、例えば1千メートルを10分で走る時、楽々ゴールする人と、頑張ってやっとゴールできた人では意味合いが違います。速さだけでなく、努力の過程も大事なはずなんです。そんな目線の運動を、世間や親、子どもたちがもっと理解すると、運動が苦手でも運動が好きな子がでてくるんじゃないかな、と思っています。
複数の子どもたちで遊ぶと、会話の中から新しい遊びが生まれることがあります。(想像力や好奇心などの)非認知能力が高まっていくのです。数字や距離を考え、鬼の動きを考える。遊びはすべて勉強につながります。そうやって何事も遊びと捉えられるようになったら、どれだけ楽しいか。遊びって本当に大事なんです。(聞き手・野村周平)
(後略)