「コロナ、家族にうつさないポイント 年末年始の対策」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/12/29 15:00)から。

家庭内隔離のポイントは
もし会食するなら…ここに注意
 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないなか、年末年始を迎えます。感染を防ぐためにどう心がけたらいいのか、感染が疑われたとき、周囲に広げないためにどう過ごすべきか、ポイントをまとめました。

予防で最も気をつけるべきなのは
 例年であれば、年末年始は親しい人と集まって食事することが多い時期だ。しかし、会食は、新型コロナウイルスに感染するリスクが最も高い場面の一つだ。

 マスクを外して食事をしながら会話することで、口からのしぶき(飛沫(ひまつ))に含まれるウイルスが伝わるケースが、代表的なパターンだとわかってきた。

 米疾病対策センターは、ウイルスがついたものを触ることによる「接触感染」よりも、飛沫による感染のほうが重要だという見方を示している。

 政府が年末年始に注意を呼びかける「感染リスクが高まる5つの場面」でも、「飲酒を伴う懇親会」「大人数や長時間の飲食」「マスクなしでの会話」が挙げられている。いずれも、会食に関わる項目だ。

 久留米大学医学部感染制御学講座の渡邊浩主任教授は「今や全国どこでも感染の発生がない所はない。会食は少人数であってもしないほうがいい。なるべく人と会わないことだ」と指摘する。初売りや初詣など、人が集まる場所も避けるべきだという。

 それでももし、会食をするのなら、なるべくリスクを下げるため、細心の注意を払う必要がある。

 政府の新型コロナ対策分科会は、会食について少人数・短時間▽なるべく普段一緒にいる人と▽箸やコップは使い回さない▽席の配置は斜め向かいに▽体調が悪い人は参加しない――などと注意を呼びかける。

 韓国では最近、飲食店内で6・5メートル離れた席にいて互いに交流がなく、滞在時刻も5分間しか重ならなかった人のあいだでウイルスが伝わったとみられるケースが報告された。

 サイズの大きな飛沫の多くは2メートルほど離れれば床に落ちるとされているが、さらに飛沫が小さい粒子になると、しばらく空気中を漂い続ける可能性が指摘されている。店内の換気が不十分ななか、エアコンからの風に乗ってウイルスが運ばれたらしい。このため、換気をしっかりするのも重要だ。

 近畿大学医学部の東賢一准教授(衛生学)は、「換気は夏と同じように継続した方が良いが、室温は18度以上に保つことを心がけてほしい」と話す。18度以下では、特に高齢者で血圧が上がり、心臓や脳血管の病気を起こす危険性が高まるためだ。感染症に気をつけても、他の病気が増えてしまっては良くない。

 東さんによると、大型商業施設や公共施設では、法律などで決められた換気量を確保できるよう設計されているため「必要以上に窓をあける必要はない」。

 ただし、集まる人が多くなれば必要な換気量に届かなくなる可能性もある。

 部屋の中の人数にもよるが、窓を開ける場合は、1時間に2回、数分開けるとよい。開ける幅は10センチ程度でもよく、常時1~2センチ開けておくのも効果がある。対角線上を開けるのが望ましいが、難しい場合は一方向でも開けておくとよいという。

 家庭では、室内の換気対策より、ウイルスを外から持ち込まないことがまず大切になる。大きく窓を開けると一気に室温が下がってしまうこともあり、必ずしも窓開けでの換気は必要はないという。親戚などが集まって過ごすといった場合には、積極的に換気してほしいという。

 湿度にも気をつけたい。空気が乾燥する冬は、飛沫が遠くまで漂いやすい。理化学研究所などのチームがスーパーコンピューター「富岳」を使い、せきのしぶきの広がり方を計算すると、湿度30%の場合は90%に比べて、1・8メートル先の人に到達する飛沫の数は約3倍という結果が出た。

 政府は、寒い場所での換気の注意点として、加湿器を使ったり、洗濯物を室内干ししたりすることを挙げ、「適度な保湿」を呼びかけている。湿度40%以上が目安だ。(杉浦奈実)

(後略)

(杉浦奈実 田村建二 辻外記子 瀬川茂子)