「“突然死”後の感染判明急増・・・“隠れコロナ死”見えぬ実態」

以下、TBS系(JNN)(1/26(火) 19:49)配信より。

 突然体調が悪化して死亡した後に、新型コロナへの感染が分かったケースが、今月はすでに48人と急増していることが分かりました。専門家は、この人数も「氷山の一角に過ぎない」と指摘しています。

 26日も1000人を超える感染者が発表された東京。今、増えているのが、感染が判明する前に突然自宅や路上で死亡するケースです。

 「今月15日、東京・大田区に住む男性が無断欠勤したため、同僚が自宅を訪ねたところ、うめき声を上げながら苦しんでいたといいます」(記者)

 関係者によりますと、男性は、死亡が確認された後のPCR検査で感染が判明しました。死後に警察の捜査に伴ってPCR検査が行われ、感染が判明した人の数は全国で138人にのぼり、1月はわずか20日間で48人と急増しているのです。ただ、捜査の関連で死後に積極的にPCR検査をするのは、1人暮らしの人が遺体で見つかるなど、事件性が疑われる場合に限られています。

 「本当の意味で、氷山の一角。日本の死因究明制度のぜい弱性が、もろに出てしまっている」(千葉大学 法医学教室 岩瀬博太郎教授)

 実はコロナに感染していたとしても、知らないまま突然体調が急変して亡くなり、死亡後にも検査を受けない“隠れコロナ死”が多いはずだと専門家は指摘します。

 自宅で過ごす高齢者のために、介護士らを派遣する訪問介護と葬儀業を営む会社。西本社長は、先月から、突然死で亡くなった人が増えていると指摘します。
 「通常であれば、1か月に数件あるかないかだが、12月と1月は1か月単位で10件近い。2倍以上3倍とかのケースが、『突然死』としてあがってくる」(アートエンディング 西本淳弥社長)

 死亡診断書の死因の多くは「心不全」。新型コロナの感染を疑ったとしても、葬儀会社や遺族側からPCR検査を求めることは考えられないといいます。
 「いざ身内が突然死して、コロナだったかもしれないと。それをPCR検査、亡くなった後にして、もし陽性だったら、遺族、家族は、自分たちも濃厚接触者かつ陽性者かもしれないと。自分たちのその後の生活にも大きく影響してくる。コロナ感染が判明すると、ほとんどの火葬場は遺族は来ないでくださいと」(アートエンディング 西本淳弥社長)

 26日、70代の夫の訪問介護を受けた同居家族も・・・。
 「(死後の検査で感染判明したら)お葬式とかそういうのに出られないというじゃないですか。ちゃんとした(葬儀や火葬は)やってあげたい」(訪問介護を受けた家族)

 法医学の専門家は、現状の制度のもとでは、遺体を検視する医師もPCR検査を避ける傾向にあるといいます。
 「(検視した)お医者さんが、感染症の検査をしなければいけないと決まっているわけではない。決められていない以上、逃げたくなりますよね」(千葉大学 法医学教室 岩瀬博太郎教授)

 「心不全」とされる突然死の中には、新型コロナの感染者が多く含まれている可能性があると指摘します。
 「コロナで亡くなっているのに(死因を)心不全にされたら、濃厚接触者が放置され、感染予防に役立たない。実際は何万人もコロナで死んでいるのに何千人になっちゃったとか、この問題の重みをずいぶん軽くさせてしまうことにつながる」(千葉大学 法医学教室 岩瀬博太郎教授)

 岩瀬教授は、感染の広がりを正確に把握するため、厚生労働省が主導で、死因の分からない全ての遺体について、PCR検査を行う制度を構築すべきだと訴えています。(26日17:55)

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