小津安二郎監督の「長屋紳士録」(1947年)をはじめて観た

f:id:amamu:20210525211707j:plain

長屋紳士録

 小津安二郎監督の「長屋紳士録」(1947年)を観た。 

 飯田蝶子がおたね役を熱演していた。小津監督は子役の使い方がうまい。シラミの伝染の演出も秀逸。全編落語的で笑わせる。そして笑いが決して古びていない。最後に、上野の戦争孤児の問題に触れているのはさすがと言わなければならない。

 小津監督らしく、戦後の時期にあって、自分のことばかりを考える利己的人間であってよいのかと、人間の品性を問いている。

 チャップリンの「キッド」(1921年)を思わせる松竹らしい名作。

 往年の茅ケ崎が映し出される。