以下、朝日新聞デジタル版(2021/6/16 2:33)から。
自衛隊基地や原子力発電所の周辺、国境離島などの土地の利用を規制する法(土地規制法)が16日未明の参院本会議で、自民、公明、日本維新の会、国民民主各党の賛成多数で可決し、成立した。
同法は、重要施設の周囲1キロや国境離島を「注視区域」に指定し、土地や建物の所有者の氏名・住所、利用実態などを政府が調べることができる。特に重要な施設については周辺を「特別注視区域」とし、一定面積以上の土地や建物の売買には事前の届け出が必要となる。
重要施設や離島の「機能を阻害する行為」について、政府の中止命令に従わない場合は刑事罰を科す。
政府は、基地周辺や国境付近の離島などの土地が外国人らに買収される事例を念頭に「安全保障上のリスクがある」と同法の必要性を主張している。しかし、調査範囲や罰則の対象行為などがあいまいで、政令や閣議決定に委ねられている。このため、米軍基地が集中する沖縄などから私権制限の懸念が出ている。
政府は、規制対象区域に想定する国境離島が484カ所、防衛関係施設が500カ所以上としているが、具体的なリストを示さなかった。
立憲民主、共産両党は「与党推薦の参考人も『条文を読むだけでは様々な臆測が広がる恐れがあることを痛感した』と答弁するほど、不十分極まる内容だ」と批判。議院運営委員長の解任決議案を提出して対抗したが、16日の国会閉会前の成立を急ぐ与党が押し切った。(小手川太朗)