以下、東京新聞(2017年11月7日 朝刊)より。
沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は六日、政府が米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設先、名護市辺野古(へのこ)で新たな護岸造成工事に着手したことを受け、移設阻止に向けて「これからも全力で戦う」とのコメントを出した。
翁長氏は「政府はなりふり構わず既成事実をつくろうと躍起になっている。工事が進んでいるように見せかけているだけで、後戻りできない事態には至っていない」と強調した。新たな工区で希少サンゴが見つかり、防衛省沖縄防衛局に工事中止と協議を求めたが応じていないとして「甚だ遺憾だ」と強く批判した。新たに着工したのは、埋め立て区域南西側の外枠となる通称「K1護岸」と、内側を仕切る「N5護岸」の二カ所。現場海上では移設反対派の市民らが小型船から抗議の声を上げた。
◆日米「唯一の解決策」 野党は「民意無視」
安倍晋三首相とトランプ米大統領は六日の会談で、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に関し「在日米軍再編を進める」ことで一致した。会談後に日米両政府が発表した文書は、両首脳が今回も「辺野古が唯一の解決策であることを確認」と明記。日本政府が同日、辺野古で新たな護岸工事に着手したことと合わせ、野党からは「民意無視だ」と反発の声が出ている。
共産党の志位和夫委員長は記者会見で、政府の工事着手を「無法なものだと強く抗議する」と強調した。衆院選で沖縄四選挙区のうち、三選挙区で基地反対派が自民党候補に勝利したことを挙げ「県民の意思は非常に明確で、この民意を無視したものだ」と語った。
社民党の又市征治幹事長は談話を発表し、工事は「トランプ氏へのお土産であるかのようだ」と批判した。「民意を踏みにじることは許されない」と訴えた。
一方、与党では公明党の山口那津男代表が記者団に「(工事は)計画の一環だと思う。沖縄の理解が得られるように、丁寧に進めていくべきだ」と話した。