以下、朝日新聞デジタル版(2021/7/14 7:00)から。
新型コロナ対応の緊急事態宣言に伴い、政府が新たに打ち出した飲食店への強化対策が相次いで「白紙」になった。酒類の提供自粛要請に応じない店に、金融機関や販売業者を通じて働きかけを強めようとしたが、業界団体などから抗議の声が殺到。世論の逆風を懸念する与党から撤回要求を突きつけられ、異例の見直しに追い込まれた。
「酒の提供自粛要請を、どうにかして守ってもらわないといけない。その中から出てきた話だったのだが……」。首相周辺は13日夜、肩を落とした。
12日に東京で始まった緊急事態宣言は、飲食店への酒類提供の自粛要請で打ち出した政府方針が、相次いで撤回される極めて異例の事態に陥っている。
「西村さんは暴走することがある」
予兆はあった。宣言を決めた8日夜、飲食店への強化策を発表した西村康稔経済再生相の記者会見では、政府の真意をただす質問が上がっていた。「融資の引き揚げなど、資金面で圧力をかけてほしいと考えているのか」。記者団からの問いに、西村氏は「しっかり順守してもらえるように金融機関からも働きかけを行ってほしい」などと説明。その直後から、業界や与野党から「金融機関の優越的地位の乱用だ」などと批判が噴出し、「金融機関への働きかけ依頼」は翌9日に撤回された。だが、混乱は収まらなかった。
(後略)
(中田絢子、太田成美、西村圭史 田幸香純、専門記者・木村裕明 長野佑介、山本知弘)