以下、朝日新聞デジタル版(2021/7/12 21:46)から。
新型コロナウイルス対応の4度目となる緊急事態宣言が12日、東京都に出された。前回の宣言解除からわずか21日。感染拡大の「急所」と言われる飲食店には、再び酒類の提供停止が要請された。我慢の日々が、また続く。
東京・新橋の焼き鳥屋「山しな」。仕込みをしていた店主の山科昌彦さん(46)の話に耳を傾けた。
こんなに早く、またお酒が出せなくなるとはね……。これまでの要請は全部受け入れてきた。お酒が出せないと、売り上げは8割減る。開店した2006年以来の危機だね。
【都内の飲食店は昨年4月以降、営業時間の短縮要請を断続的に受けている。3度目の宣言となった4月25日からは、酒類の提供停止の要請も加わった】
要請に従っているのに、「なぜ酒がないのか」と、お店に来ようとするお客さんから毎日のように言われて。時には怒鳴られたことも。気分が落ち込んだし、正直者が馬鹿を見る感じ。宣言の効果が薄れた表れなんじゃないかな。
3度目の宣言が解除された時は、お酒の制限は最後だろうと思ったんだけどね。都が配った「お酒の提供を中止しています」というポスターも、すぐに捨てちゃったよ。
【政府は今回の宣言に際し、協力金の前払いも検討するとしている】
最初からそうしてくれって。協力金は、申請から3~4カ月かかったこともあった。周りの店を見ると、時短営業を受け入れず、酒を提供する店もある。協力金が早ければ、そういう店もここまで増えなかったと思うんだけどね。
【西村康稔経済再生相は酒類を提供する店について、金融機関に働きかけるよう求める考えを示し、批判を受けて撤回した】
上から目線だよ。対策は必要だけど、他の方法があるでしょ。従業員の雇用を守るため、やむなく営業する店があるのもわかる。現場のことをわかっていないから出た発言だろうね。
でも今回も、時短と酒の提供中止を受け入れるよ。要請通りにして、「どこまでできるかやってやろう」っていう、負けず嫌いの意地もあるよね。守り切れば、思いっきり文句を言っても許されるでしょ。(藤野隆晃)
3つの条件で「感染リスクが高まる」
12日に4度目の緊急事態宣言期間に入った東京都では、一部緩和からわずか3週間で再び飲食店に対して、酒類提供の停止が要請された。新型コロナウイルス対策の「急所」とされてきた飲食店でなぜ、酒類提供の停止まで求めるのか。都が要請の「エビデンス」(科学的根拠)として示したのが、これまでの飲食店への営業時間短縮要請の経緯と、1人が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」との関連性だ。4度目の緊急事態宣言期間に入った東京都は再び、酒類提供停止を要請。都がその「エビデンス」を示す一方、お酒の小売店からは、反発の声も。記事の後半でお伝えします。
(後略)
(藤野隆晃 軽部理人 田幸香純、中野浩至)