「ホロコースト軽視に世界から反発 否定すると刑罰の国も」

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以下、朝日新聞デジタル版(2021/7/22 20:36)から。

 第2次世界大戦中のナチス・ドイツによるホロコーストユダヤ人大虐殺)の犠牲者は600万人にのぼるとみられる。ナチスユダヤ人の「絶滅」を目指し、社会から隔離して迫害した。各地の強制収容所に送り、組織的に殺害した。障害者も殺害対象になった。こうした行為が冗談の一部として扱われたことに、強い反発の声が上がった。

 「この人物(小林賢太郎氏)を東京五輪に関わらせることは、600万人のユダヤ人の記憶を侮辱し、パラリンピックをひどく嘲笑することになる」。米国の有力ユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は21日、厳しく非難する声明を出した。

 エイブラハム・クーパー副代表は22日、朝日新聞の取材に、小林氏の解任は「適切な動きだ」と語った。「ナチスの犠牲者の家族が感じていることを、日本の方にもわかってほしい。北朝鮮に拉致された人たちのことをお笑い芸人が冗談にしたら、日本の人びとはどう感じるだろうか」

 クーパー氏は「表現の自由を攻撃するつもりはない」としつつ、「人間の尊厳に関しては基本的な規範がある。苦しみ続ける人たちが『冗談』の標的になってはならない」。問題となった動画は20年以上前のものだが、「才能のある人であっても越えてはいけない一線がある。長い間、公の目に触れる立場にありながら、不適切な行いをしたと言わなかった」と述べた。

 ユダヤ人が1948年に建国したイスラエルではホロコーストの記憶の継承が重要課題で、反ユダヤ主義との闘いを重視する。「駐日イスラエル大使として、ホロコースト生存者の娘として、小林氏が過去に行った反ユダヤ主義の発言について聞き、衝撃を受けた」。ヤッファ・ベンアリ駐日イスラエル大使は22日にこうツイートした。「大会組織委員会に対し、小林氏の非常に不快な行為を強く非難した」とし、組織委が小林氏を解任したことについては「素早い対応を評価する」としている。

(後略)

(ニューヨーク=藤原学思、エルサレム=清宮涼、ベルリン=野島淳)