「東京都の感染「2週間後に1日1万人超」 専門家が試算」

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以下、朝日新聞デジタル版(2021/8/5 16:05)から。

 東京都は5日、新型コロナウイルス対応のモニタリング会議を開き、「重症患者を含む入院患者、療養者が急増し、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)した状況にある」として、「入院医療、宿泊・自宅療養を緊急時の体制へ移行する必要がある」との専門家のコメントを公表した。

 1週間平均の新規感染者数が3千人以上に上る都内の感染状況の現状については、感染力の強い変異株(デルタ株)への置き換わりが急速に進み、「経験したことのない爆発的な感染拡大が進行している」と分析した。

 会議で示された1週間平均の新規感染者数は3443人で、前週の1936人から1・78倍に急増。国立国際医療研究センターの大曲貴夫氏は、この増加率が続くと11日には週平均の新規感染者数が6129人、2週間後の18日には1万909人に増えるとの試算を示し、「都民の1千人に1人が毎日感染する計算になる。この危機感を現実のものとして共有する必要がある」と訴えた。

 都内の入院患者数は3399人(4日時点)と、前週よりも404人増加。過去最多だった3427人(1月12日)に迫りつつある。重症患者数も115人に上り、前週の80人から大幅に増えた。

 保健所で入院先を決めきれず、都に入院調整が持ち込まれる件数(1日あたり)は450件と、前週の270件から大幅に増えた。都医師会の猪口正孝副会長によると、翌日以降に調整が繰り越されるほか、自宅での待機を余儀なくされている事例が多数生じているという。

 感染者数の急増に伴い、全体の療養者数は2万9703人に上り、前週の1万6344人から急増した。特に自宅療養者数は1万4783人と前週から倍増。猪口氏は会議で「自宅での体調悪化を早期に把握し、速やかに受診できる仕組みのフォローアップ体制をさらに強化し、自宅療養中の重症化を予防する必要がある」と指摘した。

 猪口氏はこの日の会議で、入院医療、宿泊・自宅療養の緊急時の体制について、患者の症状に応じた入院、転院を進めるため、コロナ患者向けの入院医療機関の役割を重症・中等症者向けと、中等症・軽症者向けとに明確化したうえで、宿泊療養施設に酸素吸入できる医療機器を配備するなどして、宿泊療養施設にも医療機能をもたせることを想定していると説明した。

小池氏「お盆を控えているが…」
 会議では、感染力の強い変異株(デルタ株)について、都の検査に占める割合は7月25日までの1週間で64・6%に上り、前週の46・2%から置き換わりがさらに進んだことも報告された。

 都内の主要繁華街での人出も落ちきっていない。会議で示された都医学総合研究所の調査結果によると、7月12日に4度目の緊急事態宣言が出た3週間後のレジャー目的の滞留人口は、宣言直前の1週間前と比べて、夜間が22・5%、感染リスクの高い深夜帯(午後10時~午前0時)が20・8%減少した。ただ、直近1週間では夜間は前週比3・6%と微減にとどまり、昼間は横ばいで推移しているという。

 同研究所の西田淳志センター長は「繁華街の滞留人口を減少させるとともに、人と人との接触を極力減らすためステイホーム率を徹底して高めていくことが必要」と指摘した。

 小池百合子知事は会議で「お盆を控えているが、原則、旅行・帰省は中止または延期してステイホームを徹底してほしい」と呼びかけた。(釆沢嘉高、岡戸佑樹)