「「自宅療養」って言い方、おかしくないですか?」

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以下、朝日新聞デジタル版(2021/8/24 5:00)から。

 病床が枯渇し、入院できずに症状が悪化する新型コロナ患者が増えている。政府が示した「自宅療養」の方針をどう考えるべきなのか。いま何が起きているのか。


自宅療養と呼ぶのは言葉の破壊、「入院拒否」「入院謝絶」と言うべきだ 中島岳志さん(東京工業大学

 「自宅療養」とは、一般的には症状が安定した時に病院から出て自宅でゆっくり静養する、という意味でしょう。今回は入院の選択肢が奪われており、自宅療養とは言えないはず。「入院できません」という一種のトリアージ(治療順位の選別)で、「入院拒否」とか「入院謝絶」、あるいは別の言い方をすべきです。といっても医療現場は懸命な活動をされており、問題は政府の側にあります。

 安倍晋三内閣と菅義偉内閣は一貫して言葉を破壊しています。びっくりしたのが「桜を見る会」の問題で、当時の安倍首相が国会で「募っているという認識」だが「募集しているという認識ではなかった」と答弁したことです。人間社会は言葉によって成立しているのに、これを壊してしまうと、いろいろなことが成り立たない。

 菅首相も先日の広島の平和記念式典のあいさつで重要な部分を読み飛ばし、しかも気づきませんでした。彼は、書いてある言葉を意味のあるものとして読んでいないのでしょう。言葉の意味が破壊されていると思います。

記事の後半では、感染症内科医の岩田健太郎さんが、現在の局面では自宅療養は「必要悪」だとし、大事なのは感染者を減らすことだといいます。俳優の石井正則さんは自宅療養した経験をもとに、保健所が症状の異変を察知できるよう「テレビ電話のような機器を用意してほしい」と訴えます。

(後略)

(聞き手・刀祢館正明 聞き手・大牟田透 聞き手・富田洸平)