Strandで映画"Niagara"を観る

 午後から映画館Strandへ。
 昨日も書いたように、この映画館は時間帯によって入場料が違う。
 今日の出し物は、マリリン・モンロー主演の"Niagara"*1。もう1本は"Union City"*2という映画だった。"Niagara"は、ナイアガラを舞台にして、よくまとまった映画である。
 マリリン・モンローが情夫をつくり、実の夫をナイアガラから落としてうまくやろうとするのだが、夫は生き延びて、マリリン・モンローを恨んで絞め殺し、最後は自分がナイアガラから落ちるという、ありきたりのプロットなのだが、これがよく作られている。つまらぬ単純な話を面白くみせる演出がある。それには技術がいるし、演技力もいる。
 英語の勉強のために2回観たが、1回目の方が断然面白い。英語の勉強でなければ、2回は観ない映画だが、その技術、まとめ方は上手だと思った。小道具・大道具、ナイアガラを背景に鐘のある建物が何度も出てくる。伏線だが、実に無駄のない、必然性のある偶然で結ばれた映画。筋は実につまらぬ、全く為にならぬもので、ヒューマニズムも社会性もないのだが、アメリカ映画らしい魅力がある。この映画にアメリカの匂いを感じた。私は美しいとは思わないけど、マリリン・モンローは、最もアメリカ合州国らしい女優の一人なのだろう。全く不思議に思わなかったけれど、マリリン・モンローのアップを、映画はかなり長く撮っている。白痴美人的なモンローが悪女に扮し殺されるのだが、何となく悪女らしくないというか、憎むべき人物ではない。多分、アメリカ人もそう見ているのではないか。夫のほうがみじめに見えるのが不思議だ。
 マリリン・モンローは、疲れたアメリカがふと安らぎを感じた女優。甘えが許される、そんな気分にさせられる女優という説を聞いたことがあるが、憎みきれない魅力、許してしまう魅力を感じた。
 銀幕の映画に過ぎないのに、マリリン・モンローの最初のモンローウォークの際に多少の拍手がストランドで起こった。2回目に見たときも、同じ場面で観客から拍手が起こった。やはり生の反応は面白い。