この前の金曜日は、男性のファンが中心だったから、プロデューサーやミキサーの邪魔にならないように、部屋の隅っこの方で見ていた。私たちの行動といえば、せいぜい演奏会場の方に入るくらいだ。
その点、女性たちはすごい。
まず、関係者のために、用意されているサンドイッチや飲み物に手をつける。女性の関係者と喋りまくる。ミキサーやディレクター、プロデューサーとも話をして、友達感覚になる。
例のユダヤ系女性ティナの交流術は特にすごい。ティナの接近の仕方は、お見事の一言につきる。
レコーディングスタジオに別のビッグネームのアーティストの写真が掲載されていたのだが、誰のレコーディングなのか明確にするために写真が必要のようで、ティナのデジタルカメラを提供して撮影した。ここまでは、ごく普通のことだ。
それをプリントアウトしてもらった彼女は、ミキサールームにいるほとんど全ての関係者と友達になり、われわれがファンであるアーティストの写真がプリントアウトされている用紙に、サインをしてもらって歩いている。なんともすごいネットワーク術だ。
あなたにもあげるわってな感じで、私もティナから、プリントアウトされた写真をもらった。プリントアウトしてもらう際に、彼女のことだから、おそらく数枚要求したのだろう。
こうして、初日よりも、関係者との交流がすすんで、先週の金曜日私の好きなアーティストとの握手から、さらに進んで、ほんの少しだけど好きな音楽家と直接話もできたし、写真も一緒にとってもらった。
音楽ディレクターらしきブルース(仮名)からは、レコーディングの合間に、私の仕事が「音楽関係なの」と質問されたり、今回のアーティストの音楽を演出したこともある別の音楽家プロデューサー・ピーター(仮名)にも紹介してもらって、「わざわざ日本からこのレコーディングの見学のために来た」*1と言ったら、それなりに興味深い印象を与えたようだったし、チーフミキサーとも「本当にこのためだけに、わざわざ日本から来たのか」と、話すことができたほどだ*2。
このグループは、こうしたレコーディングに何度もつき合っている熱心なファンなわけだが、最後にさよならを言って別れるときには、録音室にいたほとんどの関係者が笑顔で我々を送ってくれた。
さらには、楽団員の中のチェロを弾いていた楽団員とも仲良くなっていて、そのチェリストは、でっぷりと太っているせいか、映画にも出演したことがあるという情報まで仕入れていた。アメリカ人女性の交流術、交渉術はすごいの一言だ。われわれは、爪の垢でも煎じて飲まないといけない*3。
こうして素晴らしい一日がまた終わった。