日本語による怒りの唄を期待したい

 前にも書いたけど、私が期待する日本人のアーティストは奥田民生である。
 なんといっても、彼の書く歌詞がいい。音楽的にも、よくぞここまで洋楽を学んだものだと感心している。
 そんな節は少しもみせないけれど、奥田民生は真面目な勉強家だ。
 特に今の日本人が学ばないといけないユーモアが彼の書く歌詞にはたっぷりとある。
 ただもうひとつ、今の日本人が学ばないといけないものは、怒りではないかと私は個人的に考えている。
 だから、全部でなくていいから、10%くらいでいいから、奥田民生に怒りを込めた唄をつくってほしい。それが俺の悲願でもある。OTならこれは問題なくできると思っているのだけれど。
 それほど今の日本のものを聞きこんでいるわけではないから知らないのだけれど、音楽的にはいまひとつだが、歌詞の内容でいうなら70年代フォークの方がよほど面白かったのではないだろうか。
 音楽というのは、優しく美しく、また音としてリズムとして、面白くあれというのも、もちろんそうなのだが、とりわけロックは、そのひとつのジャンルに怒りがないといけないというのが私の持論だ。怒りではなくて、体制を越えていく危険性でもいい。この点では、ちょいと日本のロックは腑抜けていないか。骨抜きになっていないかという印象がぬぐえない。
 あまり聞いてないから、知らないだけなのかもしれないが。
 先に紹介したメーリングリストの彼らは大半、反ブッシュであり、さきの大統領選挙結果にショックを受けて、いまだに精神的に立ち直れない女性もいたりする。大半は、いわばインテリだから、大衆の気持ちはコントロールできないと、ずっと冷めているけれども。
 最近のRolling Stoneのロック名曲500選では、ボブ=ディランの「ライクアローリングストーン*1が一位に輝いたと言う。私はボブ=ディランも昔よく聞いたが、ビバリーヒルズにあるニコラスの家の書棚にもボブ=ディランのCDが所狭しと並んでいた。
 ニコラスは、それほど掲示板に登場するタイプではない。ただ、これは前にもすでに紹介したけれど、ニコラスと私が共通に好きなシンガーソングライターについて、「こいつが好きな奴なら、きっと面白い奴らがメーリングリストに集まっているに違いないと思っていたけれど、俺の勘はあたったね」と、彼が私に言ってくれたコトバを、今も私は忘れることができない。
http://www.rollingstone.com/news/story/_/id/6596661/500songs?rnd=1101722001576&has-player=true&version=6.0.8.1024
 日本にも、こうした骨のある音楽が切望されていると、俺は思うのだけれど。

*1:ボブ=ディランの「ライクアローリングストーン」は、「追憶のハイウェイ61」に収録。「偉大なる復活」でも、ライブヴァージョンが聞ける。