今回私は眠り込んでいて気がつかなかったのだが、いつものように朝食前にマイケルは朝釣りに出かけたようだ。
昨日の釣りは夜の11時頃に終わって、みんなで寝ようと言ったのが真夜中の12時頃だったから、マイケルはなんとも熱心で、そして元気だ。
今朝はあいにくの雨。
私は朝釣りはやめにして、朝のシャワーを浴びることにした。他のみんなはまだ寝ているようだ。
シャワーを浴びたらさっぱりした。そのうちマイケルが帰ってきて、釣果はあったかと聞いてみると、川で転んでびしょ濡れになったとのこと。天気は最悪(rough)ということで、彼いわく、こうした天気は人生のようなものだと、へっぽこ詩人のようなことを言った。
そうこうしているうちに、みんなも起きてきて、今朝は天候が最悪だから、釣りに行かなくて大正解と、マイケルをからかっている。われわれのグループの中で、アイリッシュのマイケルは、茶目っ気があって、からかい易いようだ。マイケル本人も自覚しているようで、気にしていないようだから、これも気心が知れている中での人間関係に過ぎないのだけれど。
獣医のエドワードが早めに帰るというので、みんなで別れの挨拶をした*1。終始クールな彼だったが、ビールをふるまってくれたり、いい奴だった。最後にみんなに名刺を配ってくれた。
アイリッシュのマイケルが、講師にシェリー酒を買っておいたようで、我々全員のフライフィッシングの講師であるレイにお礼を述べながら渡した。
「15年講師をやってきたが、こんなのは初めてだ」と、レイが笑った。
講師のレイは本当にわれわれとよくつき合ってくれたから、何かお礼をしようと考えていた私は、このあと、そっとマイケルに「気が利くね」と言うと、マイケルは真剣な顔つきで、「講師はよくやってくれたし、こうしておけば、今度来たときにね、対応が違うと思うんだよね。ところで、あの贈り物はみんなで割り勘にしようと思うんだけど、加わってくれるかな」と提案された。
マイケルは、ちゃっかりしていて、とても面白い男だ。
もちろん私がこの提案に異論があるはずがない。
*1:彼らに限らず、こちらの人間はみな別れる際にきちんと名残惜しむようにコトバで挨拶をする。この点は私たちも彼らから学ぶべきだ。