ポールの仕事探し

 GBR(グレイトバリアリーフ)では海洋環境を守るための研究が盛んである。いわば日本の二の舞になるなということで海洋保全が進んでいる。
 ただ、ポールに言わせると、科学的調査を元にして細かく管理しているというよりは、機械的に単純に保全区域を決めている傾向もあって、課題は山積みだという。
 海洋生物の環境調査のためにビデオ撮影などをおこなうわけだが、こうした海洋調査のための機械を、求めに応じてつくるのが、ポールの仕事らしい。
 ところで、ポールは今、次の仕事を探している最中だという。身内のものだけで取り分を占有してしまう公平でないやり方を、こちらでは、neptism(身内主義)というようだが、新しいポジションを求めている彼をはなから相手にしないという意味で、彼はいま職場で不公平な扱いを受けているようだ。杉本良夫氏の書籍などを読んで、オーストラリアの高校の校長職や大学の学部長職などを選ぶ際には、身内主義ではなく、外からもいい人材を得ようとするという話を聞いていた私は、オーストラリアでもそんな不公平な話があるのかと、驚きを禁じえなかった。
 ポールは、法に訴えれば改善もできるが、職場のボスとの人間関係は変わらないから、復帰できたにせよ、それでは働きにくい。それで、今の仕事をやめる決意をしたらしい。今の仕事をやめても収入を激減させないためには、南極で仕事がありそうだという。現代の職探しは、インターネットで、政府のサイトでjobと入力すれば、該当サイトに行くことができて、職探しができるという。
 娘さんのペギーが通っている今の学校は、100人くらいの規模だというが、もし南極に就職が決まったら、ペギーはタウンズビルに残るという。