日本人にとっては、英語圏では、英語は共通語と思っているから、みな同じようなものだろうと想像しているかもしれないが、母語話者からすると、うんと違う。
私はまだイギリスには行ったことがないけれど、イギリス国内だって、大ブリテン島の南から北までなら、随分と違うという話だ。イングランド内ですら、南と北では違うというし、大体ニュージーランドだって、先住民のマオリ語の存在をけっして忘れてはならないわけで、その意味ではニュージーランドだって、英語だけで全て通じると思ったら大間違いだ。
イギリス国内だって、英語が通じないところがあるという話を、どれくらいの日本人が聞いたことがあるだろうか。
まぁ、狭い日本にだって、関西弁、京都弁、東北弁、関東弁と、いろいろあるわけだし、沖縄や奄美諸島なら、通じにくいこともあるということだから、大体、コトバというものは土着的なもので、かなり土着的な影響を受けるから、英語のように文字づらは同じでも、発音や特徴的な語彙となれば違うというのが普通だと思う。
これは、最近私が話題にしたのだが、キーウィーの若い人は、”Choice.”という言葉を”Cool.”の意味でよく使う。「チョイス」と言えば、「いいね」の意味になるのだ。これなんかは、日本の平均的英語学習者にとっては、ついていけないもののひとつだろう。まぁ、俗語、スラングということになるのかもしれないけれど*1。
オーストラリア英語とニュージーランド英語とでも、もちろん違うから、私はポールに、「ポールは、二つのコトバを話すわけね。オーストラリア英語とニュージーランド英語を」と言ったら、ポールは笑って、「ポート(port)の意味は知っているかい」と私に質問した。
ポート(port)といえば、通常「港」という意味になる。英語を少し深く学んだものなら、portの原意が「運ぶ」(carry)であるということを知っているはずだ。さらに物知りは、ポルトガルのポルトが、まさにportだということも知っているかもしれない。だから、そこから、「持ち運ぶことができる」(portable)というコトバも関連して派生したということがわかるだろう。
ところで、クイーンズランド州の北(North Queensland)では、portは、バッグを意味するというのだ。ポールによれば、学校のカバンや旅行カバンなどを指すという。portmanteauというフランス語から来ているらしいが、所変われば、使われ方も変わるということだ*2。