英語を話せるマオリの存在とはどういう存在なのか

 現在、ニュージーランドマオリは、例外なく英語を話すという認識が一般的である。
 これは、マオリのイギリス語化は、他ならぬ学校ですすめられた経緯があるからだ。
 より正確に言えば、学校でマオリ語を話したら、教師に罰せられたのだ。こうした有形・無形の言語侵略の中で、今日のように、マオリは例外なくイギリス語を話すようになったのである。
 台湾に住む中国人が日本語を話せるというのと、これは同じような問題がある。つまり、コトバというものは、背後に言語戦争の問題性があることが少なくないから、そうした問題性を抜きにして、ただただコトバが話せるとか話せないとか論じることは危険でもある。
コトバとは、単純に話せればいいというものではないのだ。
 「マオリ語が弾圧されたという話は個人の自叙伝を読めば、知ることができると思われますが、他に読むべきものはありますか」と私が質問をすると、「教育(education)に関する政府報告書(Government Reports)のAJHRを読むべきではないか」と教えてくれた。