日本テレビの「女王の教室」は、なかなか面白いドラマだった

女王の教室

 日本テレビのドラマ「女王の教室」を昨日、今日と年末総集編で全11話をやっている。
http://www.ntv.co.jp/jyoou/index.html
 尋常でないほど厳しく恐い阿久津真矢という名の小学校教師に対して、6年3組の児童たちが団結し成長していくドラマなのだが、今年一年はテレビドラマを観る暇もないほどの多忙生活だったから、このドラマが話題になっていたことは知っていたけれど、放映中は全く観ていなかった。年末に一挙放映ということで、二日間にわたって観てみた。
 ドラマだから、所詮つくりものである。設定が現実離れをしていて漫画的なところもある。悪口を言えば、マインドコントロール的でもあり、SM的でもある。だけれども、ときおり妙に現実感覚をみせるドラマであることも確かだ。たとえば罪をかばって助けてあげた仲間から「あんたなんか絶好よ」と主人公が言われてしまったりする。また卒業式の日に阿久津教諭が生徒一人ひとりのデータをパソコンから削除するシーンがあるけれど、仕事の区切りがなかなかつかない教師という仕事は、卒業式でようやく肩の荷をおろせるような、教師の気持ちはあんな感じだと考えてしまう。自宅に帰ってもプライベートな時間が確保できないような生活設定にもリアリティがある。阿久津先生の住居はあまり豪勢とはいえないアパート住まいだが、精神的には、あんな感じの方がリアリティがある。先に書いた悪口だって、実際の教育活動もSM的でマインドコントロール的なところがあったりするから、妙に説得力が出たりする。なにより、こんな私のくだらない分析より、このドラマは観ていて面白い。
 教育の仕事でなくとも、真面目に仕事をするなんていう気持ちがめずらしくなってしまった現代日本だからこそ、時代感覚に合致して、ストイックな教師道を行く阿久津先生に惹かれる面白さがあるのかもしれない。あるいは、なかなか本質が理解されず、誤解されることが多い皮相的な見方が主流になりがちな現代日本にあって、阿久津教師に対する人物評価が賛否両論に分かれたりして、妙に説得されてしまうのかもしれない。
 阿久津真矢(天海祐希)は、むずかしい役柄で、教師の気持ちの表現としては、今ひとつのところもあったけれど、上野教頭(半海一晃)、近藤校長(泉谷しげる)、並木平三郎(内藤剛志)などの脇役はよかったし、特筆すべきは、神田和美志田未来)、真鍋由介(松川尚瑠輝)、進藤ひかる(福田麻由子)、馬場久子(永井杏)など、子どもたちの演技が素晴らしいことだ。とりわけ、神田和美役の志田未来さんは、どんな逆境にも負けない少女漫画型の伝統的ヒロインを好演していた。若干能天気すぎる感じがしないわけではないが、ああいうタイプの女の子は今でもどこかにいそうだ。
 これも、脚本家・遊川和彦氏の仕事やディレクターをはじめスタッフの方々の努力の賜物であるに違いない。
 「女王の教室」は、DVDも発売されている。