「カーズ」(Cars)を観てきた

Cars

 私はディズニー・ピクサー映画のファンということではないのだが、これまで「トイ・ストーリー [DVD]」「トイ・ストーリー2 [DVD]」「モンスターズ・インク [DVD]」など、よく観てきた。これはひとえに音楽担当が私が長年興味を持ち続けてきたランディ・ニューマン(Randy Newman)だからなのだが、今回も、そうした興味から、「カーズ」(Cars)を観てきたというわけだ。
 音楽的興味から交流しているロサンゼルス在住のアメリカ人の知り合いが、やはり劇場でカーズを観てきたのだが、今回「トーイストーリー」や「モンスターズインク」と違って、劇場の子どもたちは場内を歩き回って閉口したという。つまり、子どもたちには、車が主人公よりも、オモチャや怪獣モノの方が受けがよかったというわけだ。そもそも、「カーズ」には人間が全く出てこない。車は誰がつくって、修理はどうするのと、彼女は疑問を持ったという。
 けれども、私には、そんな突っ込みはどうでもいいことのように思える。
 おそらく「カーズ」は大人に受けるのだろう。
 そもそも「カーズ」は、ルート66やラジエーター・スプリングスという昔栄えた町が主人公の映画ではないのか。そうでなければ、ルート66の地図が映し出されるようなアニメ映画は、つくられはしないだろう。
 1992年の夏に合州国西部を相棒と一緒にレンタカーでまわったことのある私には、「カーズ」はなかなか面白い映画だった。それは、北アメリカ大陸の町や道路がよく描かれているように思えたからだ。新美南吉の「おじいさんのランプ」のようなノスタルジーがあり、忘れてきたものはありませんかと問いただされているようにも思えた。
 よくあるテーマと言ってしまえばそれまでだが、金を儲けて何が悪いというような発言が主流の日本にあって、ディズニーのレベルですら、地域共同体、すなわち知り合いや仲間が重要であることや、一番になることが人生の最重要課題ではないということをテーマにしているのである。まるっきし典型的B級映画であるけれど、私には好感がもてた。
 短編の「ワンマンバンド」も、楽しめた。