映画"American Utopia" の "I Should Watch TV"(2012)

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American Utopia (soundtrack)

 

 David Byrne のコンサート映画 "American Utopia"(2020年)。

 そのSoundtrackからの一曲"I Should Watch TV"は、David Byrne & St. Vincentによるスタジオアルバム"Love This Giant"からの一曲。"I Should Watch TV"もDavid Byrne & St. Vincentによるもの。アルバム"Love This Giant"の二人の顔がゆがめられた写真は「美女と野獣」のパロディと言われている。

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Love This Giant


  これはすでに記事「映画「アメリカンユートピア」を映画館で観た」で書いたことだけれども、コリン・キャパニックについて触れないわけにはいかない。

 'I Should Watch TV'の演奏中、一瞬だったが、ブロードウェイのステージに、フォーティナイナーズ(当時)のクォーターバックのコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)選手*1が映る。彼は、国内の人種差別、黒人への警察の暴力に対する抗議表明から国歌に起立しなかったアメリカンフットボールの選手だ。2016年夏のことである。
 アメリカ合州国で人気のあるアメリカンフットボール。選手の70%が黒人選手であるNFL(National Football League)。その後かなりの期間、コリン・キャパニック選手はどのチームとも契約できなかったと記憶している。トランプ大統領(当時)は、「国旗に敬意を示さない畜生は、クビにしろ」とののしり、その後もツイッターで「何百万ドルという収入を得ているプロ選手が、国旗や国に対して敬意を払わないことなど許されない」とつぶやいた。
 さて、移民社会であるアメリカ合州国アメリカ独立宣言が「不滅の言葉」とうたった"All men are created equal."(「すべて人間は平等につくられている」)。「アメリカ革命の不滅の意義」。けれどもトランプ元大統領はアメリカンユートピアを裏切り、分断をあおり続け、今ヘイトクライムアフリカ系アメリカ人からアジア系にまで及び最悪だ。(「映画「アメリカンユートピア」を映画館で観た」2021年6月2日付 「amamuの日記」より)

 歌っている内容は、テレビを通じて人間・社会を知っていく感覚か。

 もちろんテレビには功罪があるから、「テレビを観るべきと思う」とバーンがいえば、皮肉に聞こえる。実際、ニューヨークの観客もそんな反応をしていた。だが、どれほど皮肉が入っているのか。

 演奏としては、"I Should Watch TV"の怒濤のようなリズムセクションの力強さは比類ない。まさにロックしている(it rocks plenty)。

*1:コリン・キャパニック選手については以前触れたことがある。https://amamu.hatenablog.com/entry/20170915/p1