言語活動指導を導入するための一つの手段としての和訳先渡し

 この間、言語指導と言語活動指導の話を多く書いてきた。
 なぜ和訳先渡し授業の試みに私が興味を持ったかといえば、言語活動指導を導入できる可能性があるからだ。
 「量から質への転化」というコトバがある。
 質的に高めるためには、量が必要であるということだ。
 コトバの習得も、この法則が当てはまる。
 たとえば、語彙の習得だが、語彙習得は人間関係と同じで、語彙は定着するには何度も出会う必要がある。何度も出会えば、忘れようとしても忘れられなくなる。語彙は自分で使うことも必要だ。いろいろと使いこなして初めて自分のものになったと言える。
 コトバの習得には、繰り返しが必要なのだ。
 そのためには、結果として、量が必要だ。
 言語指導だけでなく、言語活動指導も導入することが必要だ。量をこなすには、スピードをあげなくてはいけない。スピードをあげるといっても普通のリズムとスピードということなのだが、これがむずかしい。パワー不足だからだ。
 言語活動トレーニングを導入したいのだが、ただ時間がない。
 この点で、和訳先渡し授業は、言語活動指導を導入するためには有効な手段だと思う。
 重要なことは、何度も読みたくなるような教材と、何度も読まないといけないタスクを教師が考えてあげることだ。
 それと、今度は、言語指導が軽んじられる傾向も出てくる。この点には注意が必要だろう。