統一地方選挙前半の結果をどうみるのか

amamu2007-04-09

 昨日の選挙結果の特徴だが、まず、第一に、投票率が全体的に低調であったことを指摘しないわけにはいかない。戦後最低を記録更新した地域も少なくないほどの低調ぶりであった。
 第二に、そうした投票率の低調傾向の中、都道府県知事選では、現職の9知事が当選した。
これはどういうことかといえば、無党派層の取り込みをねらって、「政党隠し」をしたことが大きな原因に違いないと私は見ている。
 実際、各知事選では、「無所属」の立候補者が多く、政党の推薦をよくみなければ、わからない候補者が多かった。中には、政党の推薦を受けると「しがらみ」が出てくるので、「改革」をすすめることができないという政党政治を侮蔑した発言も飛び出す一方、その裏で、政党の支援を結果的に受けているという候補者が少なくなかった。このために、政策論争がぼやけて、明確な対立軸がわからなかったと言わざるをえないのではないか。
 先ほど述べた知事選でも、四党の推薦を受けているところもあり、そうした「相乗り型」や、民主党が候補者を立てなかった「無風型」では、軒並み投票率も下落していることにも見て取れる。
 さらに、結果的に自民党の推薦を受けた候補者が、民主党の支援を結果的に受けている候補者と、こともあろうに相互に応援演説をおこなうなど、まさにオール与党的で、明確な対立軸がわからないまま、選挙当日を迎えたという感が強い。
 そもそも自民党民主党で、どれほどの政策的な違いがあるのかわからないが、それでも、自民党離れはさらに進んでいるようで、実際、県議選では自民党が大幅に減り、民主党が大幅に伸ばした。
 ということで、「勝ったのは自民党でもなく、民主党でもなく、「現職」だった」という朝日新聞の記述は私なりに納得できるものだった。
 さて、問題は、これでいいのかということである。
 以上のような選挙結果の、その一方で、いま困窮している人たち、政治に救いを求めている人たちが、これほど明確なかたちで増大している状況はかつてなかったのではないか。
 今後も大企業優遇税制の一方で、大型開発ばかりが幅をきかせ、福祉と暮らしがないがしろにされ、教育基本法が改悪されたいま教育も危機的状況を迎えている。平和と憲法の問題も待ったなしである。
 知事選で現職ばかりが当選したといっても、地殻変動は起こりつつあるし、起こらざるをえない。参議院選挙が重要な選挙戦になることは間違いのないところだろう。