時津風部屋はもちろん、日本相撲協会にも文部科学省にも責任がある

amamu2007-10-01

 入門わずか3カ月の17歳の力士が6月に亡くなった。
 その力士は厳しい相撲部屋生活に耐えかねて、その部屋を逃げ出そうとしていたようだ。親に対しても救済を求めて電話をしていたが、父親は頑張れと言って励ましたことを後悔しているとメディアが報じていた。父親の気持ち、悔しさはいかばかりだろうか。
 詳しい事実は、まだはっきりとしていないが、メディアの報道によれば、時津風部屋の親方はお前みたいな根性のない奴は初めてだとばかりに、食事時にビール瓶で額を殴るとか、兄弟子たちに指示して、兄弟子たちが金属バットを使って殴打するとか、翌日には「かわいがり」と称する「稽古」ののちに、親方と20分ほど二人きりとなり、何が起こったかはわからないが、その後無意識となり、水をかけても意識が戻らず、救急車を呼んだ方がよいのではないかという兄弟子の判断を親方がさえぎり、今度はお湯で温めても意識が戻らないことから、ようやく救急車通報になったという。
 死亡後は、親方の方から火葬にしたいという申し出が家族にあり、父親がその申し出を断って死体解剖の結果から、暴力によるショック死ではないかという疑いが出てきたという。
 事実がまだ確定していないから、軽々しくコメントをすることはできないけれど、あまりに遅い対応と言わざるをえない。
 親方は弟子たちに口裏あわせを指示し、金属バットの証言が弟子たちから出されると、そのことを聞いた親方はなんで本当のことを言うんだと叱責したという。もし、こうしたことが本当だとすると、これは隠ぺい工作となる。
 もしこうしたことが事実だとすれば、これは相撲界やスポーツという話ではない。時津風親方を中心とする明確なリンチ殺人と言うべきものだろう。
 日本相撲協会に対して文科省が指導したというが、日本相撲協会はもちろん、文科省の責任も問われる。
 今朝テレビを観ていたら、相撲部屋内部のことは各相撲部屋にまかせているのでなかなかわからない、文科省が財団法人に軽々しく口を出すべきではないなどと、文部科学省副大臣がテレビで発言していたが、ことは17歳の青年が亡くなっているのだ。
 たしかに、この副大臣の発言どおり、私も、公権力が軽々しく口を挟むべきではないと思う。しかし、むしろ今回のことは事態の重さからして口を挟みきちんと指導すべきだろう。そもそも文部科学省は、やるべきことをやり、やるべきでないことをやらないようにしているのか。むしろ、その逆ではないのか。
 実際に、今回のことも、事態の重さから、遅くはあったが、文部科学省日本相撲協会を呼び出して指導し始めた。
 やるべきことをやらず、やらなくてもいいことをやっている具体例でいえば、たとえば沖縄の集団自決での軍の関与問題など、教科書検定がある。さらには、山形大学の学長問題、岩手県修紅短期大学などを経営する学校法人「第一藍野学院」の理事会の議事録改竄問題など、大学の新学部設置などで口を挟むべき事態に対して、放任、もしくは遅い対応しかできていないとすれば、文部科学省の存在意義はどこにあるのだろうか。