「公立高の入試でリスニング」*1といっても、これは英語の話ではない。
公立高の入試で、今春8県に拡大したと新聞が伝えている。
以下は朝日新聞から。
入試に国語リスニング 公立高、今春8県に拡大
2008年01月27日03時08分
音声で流れる説明文や会話文を聞いて、正しい要旨を選んだり自分の考えを記述したりする国語のリスニング(聞き取り)を、高校入試に採り入れる自治体が増えている。すでに7県が導入し、今春には千葉県が加わる。今の学習指導要領が「聞く力」の育成を国語の重要な目標に掲げていることが主な理由だが、「人の話を聞けない生徒が増えた」といった現場の危機感も背景にある。
朝日新聞が全都道府県に取材したところ、青森、島根、岡山、山口、佐賀、鹿児島、沖縄の7県が公立高校入試で国語のリスニングを導入していた。広島市では、市立の中高一貫校1校が2月の入試で導入する。東京都も先行県の入試問題を取り寄せて検討中だ。
全国で初めて公立高校の入試に採用したのは79年の青森県。「古い話なのでどんな経緯だったか分からない」と担当者はいう。追随する動きはしばらくなかった。
しかし90年代に入ると、思考力、判断力、表現力などを重視する「新しい学力観」という考え方が学習指導要領に登場。02年度施行の指導要領でも「大事なことを落とさないように興味を持って聞くこと」「発言を注意して聞き、自分の考えをまとめること」が重要課題と位置づけられた。こうした流れを受け90、00年代に採用が続いた。
長年高校生を教えてきた私の実感としても、生徒の日本語の聴解力は低下している印象がある。
しかし、この問題の原因は根深いと思うが、その分析が重要だ。
少なくとも、子どもたちが置かれている環境、成育歴の分析が重要だ。家庭の教育力・社会の教育力の低下の中で、集中力・想像力の低下と、この「人の話を聞けない生徒が増えた」現象は、関係があるだろう。テレビやゲーム、IT機器に囲まれた生活との関係もあるだろう。そして脳の作られ方とも関連するだろう。
これは一般の現象だが、そもそも、いま講義型のレクチャーをすれば、大半の高校生は寝てしまうのではないだろうか。今の高校生は抽象的な話が苦手だ。
入試のような対応で解決がつくのだろうか疑問だ。しかしながら、現状を反映しての対応であることは間違いない。
今の子どもたちの状況を、大人たちは知らないといけない。
*1:リスニングは、日本語ではリスニングと言っているけれども、本来これは聴解力テストのことだからlistening comprehension testの意味で、「理解」という意味のcomprehensionが入らないと意味をなさない。