「安全委、業界の意向反映」(1993年)

amamu2012-06-05

 6月5日付の朝日新聞によれば、「国の原子力安全委員会の作業部会が1993年に原発の長時間の全電源喪失についての対策は不要と結論づけたのは、電力会社の意向が反映された結果だった」という。「4日、安全委の公表した資料でわかった」という。
 福島第一原発事故は、「すべての交流電源が失われ、原子炉の冷却ができなくなり事故を起こした。当時、対策をとっていれば事故を防げた可能性がある」とコメントしているように、福島第一原発事故の原因としては、「全電源喪失」(ブラックアウト)が焦点になっていた。
 1991年につくられた「作業部会」は、「専門家5人」、「部外協力者」として「東京電力関西電力の社員」が参加したという。朝日新聞によれば「電力会社が『全交流電源喪失によるリスクは相当低く、設計指針への反映は行き過ぎだ』と反発したという」。
 私が思うに、こうした作業部会の組織の仕方、構成員の選定が問題であり、「専門家」の内容も資格も問われるのだが、当時はこうしたことを問うこと自体が難しい。その意味で事実が確定した際に、振り返ることが重要だ。
 安全委の事務局は、今回の文書が公開されていないことについて「『開示するのをわすれていた。隠蔽したわけではない』としている」というが、こうした重要な情報が出てくることが結果として遅いこと、また新聞報道の扱いが小さいことは問題だろう。