「大震災の資料 保存急ぎ、研究の場つくれ」

amamu2012-06-23

 6月23日付の朝日新聞の「私の視点」の欄に、「大震災の資料 保存急ぎ、研究の場つくれ」という意見が掲載されている。
 投稿されたのは、神戸学院大教授(資料学)の水本浩典氏。
 水本氏についてよく存じ上げてはいないが、氏は、「東日本大震災の被害の大きさに衝撃を受け、焦燥感に駆られるように震災発生の2日後、「震災資料の保存のお願い」と題する緊急アピール文を随所に発信」されたという。
 現在、「17年前の阪神・淡路大震災」について、「当時の避難所運営などの実態を把握する作業を続けている」とのことだが、「たかだか17年前のことを記録した資料でさえ、その多くが散逸してしまっている」「数多く作られた報告書は、歴史学では二次資料であり、原資料に比べて格段に扱いが低くなる」と。
 「阪神・淡路大震災は都市型の地震災害」「東日本大震災はまったく別の様相の大規模災害」であり、「今後、西日本一帯を襲うと予測されている地震災害は、両方の要素を含んだものになるだろう」という視点から、その教訓を生かすために、結論として、氏は「国や自治体レベル、そして個人レベルで、早急に今回の震災関係資料の保存に取り組んでほしい」「震災資料の保存と分析の場となる「震災資料センター(仮称)」も設置すべき」と訴えている。
 何よりも事実が重要であるという実証的な立場から、大災害から深く学ぶということが重要であることは論を待たない。それは命と暮らしを大切にする思想につながっている。こうした仕事ができるか否かは、すぐれて政治の水準の問題であり、ひいては民度と直接かかわっていると言えるに違いない。