「桜田五輪相を更迭 被災地議員を「復興以上に大事」発言」

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  以下、朝日新聞デジタル版(2019年4月10日21時35分)から。

 桜田義孝五輪相は10日夜、東日本大震災で被災した岩手県出身の自民党衆院議員のパーティーであいさつし、議員の名前を挙げ「復興以上に大事」などと発言した。その後、記者団に釈明したが、被災地軽視と言える発言への批判が高まり、辞表を提出した。事実上の更迭とみられる。

 安倍政権にとっては忖度(そんたく)発言で塚田一郎・前国土交通副大臣が辞任したばかり。相次ぐ発言をきっかけとした更迭は政権にとって痛手となる。後任には衆院岩手2区選出の鈴木俊一前五輪相(麻生派)を起用する。

 安倍晋三首相は辞表を受理した後、記者団に「任命責任は私にある。国民の皆様におわび申し上げる」と述べた。桜田氏は「被災者の気持ちを傷つけた話をしてしまい申し訳ない。それだけでは十分でないと感じ、辞表を提出した」と話した。

 発言は、同日夜、東京都内であった高橋比奈子衆院議員(比例東北)のパーティーのあいさつ。桜田氏は来年の東京オリンピックパラリンピック開催で多くの訪日客が訪れるとし、「おもてなしの心を持って、復興に協力していただければ、ありがたい。そして、復興以上に大事なのは、高橋さんでございます」と語った。

 桜田氏は今年2月にも、競泳の池江璃花子選手が白血病を公表したことに「がっかりしている」などと発言し、その後、謝罪、撤回した。この日のあいさつでは、乾杯前だったことに触れ「がっかりしているんじゃないかと(みなさんが)思ってですね。がっかりという言葉は禁句なんですけど」とも述べた。

 桜田氏はパーティー出席後、記者団に対し、いったんは「言ったことありません。記憶にありません」と釈明。その後、首相官邸を訪れ、辞表を提出した。安倍首相も同日夜、急きょ官邸に戻り、政権幹部と対応を協議。桜田氏の辞表を受け入れた。

 二階派に所属する桜田氏は千葉8区選出で当選7回。昨年10月の内閣改造で初入閣した。

 桜田義孝五輪相の自民党高橋比奈子衆院議員のパーティーでの主な発言は以下の通り。

 みなさんこんばんは。(乾杯する前で)ちょうど乾杯でビールが(テーブルに)並んでいるので、(飲めずに)がっかりしているんじゃないのかと思ってですね。私の「がっかり」という言葉は禁句なんですけど。(競泳の池江璃花子選手の白血病公表についての発言で)いろいろ言われちゃったから。

 私は高橋比奈子先生ともそんなに親しい仲じゃないけど、(わたしは)建設会社をやっていて、(高橋議員の選挙区の)岩手の人が、大工さんが何十人も来てくれてね。私の会社に貢献していただいたのは岩手の大工さんなんですよ。私は岩手県と親しみがある。

 国会議員になったり、政治家になったりして、岩手の方にも親近感を持ってね。なんとなく岩手とお付き合いがなくても岩手の人を応援したいな、とそんな気持ちで働かさせていただきまして。

 みなさん、一生懸命、高橋さんを応援していただけることを心からお願いを申し上げ、そして、岩手の人が多いかもしれませんが東京オリンピックは来年開催。世界中の人が日本に来ます。岩手県に行くと思いますのでね。東日本大震災ということでね。東日本ということは岩手も入っているのですからね。おもてなしの心を持って復興に協力していただければありがたいと思います。そして復興以上に大事なのは高橋さんでございますので、よろしくどうぞお願いいたします。

桜田五輪相の主な問題発言
●(期待している選手なので)がっかりしている(2019年2月12日、競泳の池江璃花子選手の白血病公表について)

●私は英語ができないから首相を目指すことはやめる(2018年12月20日、多言語対応サービス促進のフォーラムで)

●そんなに私の名前が世界に知られたのか。いいか悪いかは別として、有名になったんじゃないか(2018年11月21日、普段パソコンを使用していないことを海外で報じられて)

●『撤回』の言葉の中に『おわび』の意思を含んでいるつもりだった(2018年11月16日、国会答弁に関する自らの主張を撤回した際、謝罪しなかったことについて)

●従業員や秘書に指示してやってきたので、自分でパソコンを打つことはない(2018年11月14日、衆院内閣委員会でサイバー攻撃対策を問われ)

●事前通告がなかったから(2018年11月6日、参院予算委で東京五輪パラリンピックの基本コンセプトを問われて即答できなかったことについて)