井上ひさしさんの「太鼓たたいて笛ふいて」を観てきた

太鼓たたいて笛ふいて

 パンフレットを読むと、こまつ座の「太鼓たたいて笛ふいて」の上演は、2002年・2004年・2008年とあり、今回が4回目の再演になるという。
 前回わたしが観たのは、2008年。
 前回の公演から6年の歳月が経ち、その間に、東日本大震災福島第一原発事故特定秘密保護法案の強行採決がなされ、集団的自衛権行使のための改憲が遡上にのぼりつつある。
 前回よりも、今回の大竹しのぶさんのほうが、胸に迫る演技だった。
 「太鼓たたいて笛ふいて」は林芙美子の劇であるが、「日中戦争から太平洋戦争にかけての彼女は軍国主義の宣伝ガールとしてバカに派手な活躍」をしていた。ところが、「戦後の彼女は一転して、いわゆる『反戦小説』をたくさん書」いた。「だれでも過ちを犯しますが、彼女は自分の過ちにはっきりと目を据えながら、戦後はほんとうにいい作品を書きました」と、井上ひさしは「その彼女の凛々しい覚悟を尊いものに思い、こまつ座評伝シリーズに登場をねがった」と初演の「前口上」にある。
 大竹しのぶの迫真の演技を支え脇をがっちりかためるのは、木場勝己、梅沢昌代、神野三鈴、阿南健治山崎一