「科学者は戦争で何をしたか」を読んだ

科学者は戦争で何をしたか

 2008年にノーベル物理学賞受賞。素粒子理論が専門だから、私はこれまで益川敏英氏の本を読んだことはなかった。
 安保法制、解釈改憲を批判する益川教授の本ということで「科学者は戦争で何をしたか (集英社新書)」を読んでみた。
 益川敏英先生の「甘いといわれるかもしれませんが、私は必ず民衆が「それはおかしいよ」という声を上げ始める時が来ると信じています」や「数百年のスパンで考える」という姿勢に、科学的姿勢・態度・思想と楽観論があらわれているように思った。
 すべての人に本書の一読をおすすめしたい。

 以下、印象に残った箇所について、ランダムにノートをとってみた。
 

 科学者は科学者として学問を愛するより以前に、まず人間として人類を愛さなければならない(恩師にあたる理論物理学者の坂田昌一

 勉強だけでなく、社会的な問題も考えられるようにならないと、一人前の科学者ではない(坂田昌一

 資本主義国においては、科学者はもはや自由職業ではなく、政府か、独占資本の使用人でしかない。科学の成果がなにに用いられるかは、科学者の意図とは無関係に、政府と独占資本の意志によって決定される(イギリスの物理学者・バナール)