「「ご意向」発言、一体誰が 文科省・内閣府食い違う説明」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2017年6月16日13時31分)から。

 「総理のご意向」などの発言があったとする文書を公開した文部科学省。そんな発言の認識はないと否定する内閣府獣医学部新設計画をめぐって食い違う説明に、野党は追及を強めた。16日の国会では、萩生田(はぎうだ)光一・内閣官房副長官山本幸三・地方創生相らに質問が集中した。


■「総理の指示ない」主張繰り返す

 「『総理のご意向』と文書の中にある。これは事実なのか」

 16日午前、参院内閣委員会。民進桜井充氏は、前日の文科省の再調査結果を踏まえ、発言者として文書に名前があった内閣府の特区担当、藤原豊審議官を問いただした。

 藤原氏は手元の紙を見ながら「(文科省に『総理のご意向だと聞いている』などと)お伝えした認識はない」と否定。「総理からもそういった指示はございません」と従来の主張を繰り返した。

 ただ、藤原氏安倍晋三首相が普段から規制改革全般にスピード感を重視しているとして「私ども事務方が関係各省と議論を行う際に、こうした総理発言に言及させていただくことは十分あり得る」とも述べた。

 一連の文書をめぐっては、松野博一文科相が15日、「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと記した文書が省内に存在することを発表した。文書は文科省の課長補佐が作ったとされ、課長補佐は「(内閣府側から)こうした趣旨の発言があったのだと思う」「総理のレベルに話が行っているんじゃないかと感じた」と説明したと明らかにしている。

 参院内閣委で否定を繰り返す藤原氏に、桜井氏が「このペーパーは存在するけど、すべてが事実と異なるということですね」と追及。藤原氏は「内容については私の認識していないことが非常に多いと思っている」と答えた。

 一方、「文科省の人たちが捏造(ねつぞう)したものなのか」と問われた文科省義家弘介副大臣が「そうした趣旨の発言があったのだなと思うが、真意はわからないというヒアリング結果だ」と述べ、藤原氏の説明と食い違う場面もあった。

 また桜井氏は、獣医学部新設の事業者選定の要件について、萩生田氏が内閣府に対して実質的に加計学園しか応募できなくなる要件を指示したとされるメールについても問題視。萩生田氏に対して「副長官から何らかの指示があったのではないかと推察されるが、ご本人いかがか」と質問した。萩生田氏はメモを手に持ちながら「私が修正の指示を出したことはない」と否定した。(岡戸佑樹)

■地方創生相、会見7分で終了

 「内閣府文部科学省に『官邸の最高レベルが言っている』『総理のご意向』などと伝えた認識はなく、総理からもそうした指示等は一切ありませんでした」。16日午前、首相官邸ロビー。記者団に囲まれた山本幸三・地方創生相は調査結果を早口で読み上げた。

 文科省が前日に発表した文書の記載内容を否定する一方、「総理は常々『スピード感を持って規制改革を断行するように』と言っているので、そういうことを踏まえて発言している。その辺を相手側がどういうふうにとったかということだろう」とも話した。

 「萩生田光一内閣官房副長官内閣府の藤原豊審議官に指示した」とする内容のメールが、内閣府職員から文科省職員に送られていたことについては、「その担当者は特区の担当者でもなんでもない。ただ文科省から出向していて、ある意味でいうと、色々隠れて親元に報告していた」と述べた。

 調査を表明したのは前日午後。担当者9人への聞き取りのほか、メールや文書を調べたという。「調査時間が短いのではないか」と問われると、山本氏は「一応、調査を尽くしたと考えている」「しっかりとルールに基づいてやっていることを改めて我々は再認識した」と強調。7分程度で会見を終えると、足早に立ち去った。(根岸拓朗)