「「1強」安倍首相、初の大敗 改憲・総裁選、影響必至」

 以下、朝日新聞デジタル版(2017年7月2日23時55分)から。

 安倍首相は2日夜、都内で麻生太郎副総理や菅義偉官房長官らと会食。首相の責任問題にはならない、との認識で一致したという。2012年衆院選での政権復帰以降、大型選挙で勝利を続けることで「1強」を築いた首相にとって初めてとなる大敗で、自民党内にも衝撃が広がっている。

 小池氏との対決に加え、連立を組む公明党も敵に回り、もともと苦戦は予想されていたが、都議選は首相の政権運営そのものが直接問われた。「共謀罪」法の採決強行、加計学園をめぐる疑惑への対応など政権の強硬姿勢が批判を受け、内閣支持率が下落。衆院2回生の不祥事、首相に近い稲田朋美防衛相の問題発言や下村博文・党都連会長の献金問題などが追い打ちをかけた。首相自身も都議選の応援演説で「おわび」に言及せざるを得なかった。二階俊博幹事長は2日夜、記者団から責任論について問われ「これから検討したうえで」と述べた。

 「1強」のもとで批判が表に出ない自民党内の権力構造が都議選の敗北で崩れ、首相が急ぐ憲法改正に向けた党内の原案づくりにも影響するのは必至だ。次の臨時国会への党原案の提出や、来年の改憲発議と国民投票という首相が描く日程も不透明になってきた。

 来年9月の党総裁選は、任期延長で立候補の環境を整えた首相の3選が確実視されていたが、見通せなくなった。「ポスト安倍」と目される岸田文雄氏は「深刻に受け止めなければならない」、石破茂氏は「自民への反感があった」と語った。両氏ら派閥会長のほか、総裁選に意欲を示す野田聖子氏を含めた党内の駆け引きが活発化しそうだ。

 政権は8月にも内閣改造・党役員人事を行うことを検討。だが、稲田氏の早期交代を求める声があり、改造人事も政権浮揚につながるかは見通せない。都議選できしんだ自公関係の立て直しも課題で、衆院の解散戦略にも影響しそうだ。

 一定の政権批判票を取り込んだ民進、共産は加計学園問題や稲田氏の発言などを徹底追及する方針。政権は拒んできた閉会中審査について、応じざるを得なくなることも予想される。