以下、朝日新聞デジタル版(2021/8/31 19:52)
菅義偉首相は来週にも二階俊博幹事長らを交代させる人事に踏み切る方針だ。党の「刷新」で求心力を高めたい考えで、直後に衆院解散に踏み切る案も検討しているが、自らの生き残りに執心する姿には党内でも反発を招いている。
苦境の菅首相が切った「カード」は、なりふり構わぬものだった。
30日の首相官邸。首相は向かい合った二階幹事長にこう切り出した。「人事を刷新したい」
二階氏はうなずき、「遠慮せずやってください」と返答した。会談後、二階氏は周囲に「自分から自分の人事を頼んだことはない。しがみつくことはしない」と淡々と語り、幹事長交代を受け入れたことを明かした。
二階氏は、安倍政権下の2016年に幹事長に就任して以来、在職日数が最長記録を更新し続ける。昨秋の総裁選では、真っ先に首相を支持し、菅政権誕生を主導。無派閥で党内基盤が弱い首相にとって二階氏は政権運営の要だった。
だが、菅政権発足から1年たっての突然の「二階氏切り」。背景には、首相が描いてきた総裁選の再選シナリオの崩壊がある。
首相や党執行部は当初、衆院議員の任期が10月21日に迫るなかで9月5日閉幕の東京パラリンピック後に衆院を解散し、衆院選を勝ち抜いたうえで総裁選を「無投票再選」で乗り切りたい考えだった。
しかし、4月の衆参3選挙や首相のおひざ元の横浜市長選などで敗北。感染が収まらない新型コロナ対応への不満もあり、内閣支持率は低迷を続ける。「菅氏では選挙が戦えない」との声が党内で拡大し、その批判の矛先は首相とともに政権中枢を担ってきた二階氏にも向かった。
任期満了選挙は「総裁選を有名無実化」
(後略)
(岡村夏樹、明楽麻子 菊地直己、野平悠一)