「最後の切り札を封じられた菅首相 「結局支える人がいなかった」」

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以下、朝日新聞デジタル版(2021/9/4 5:00)から。

菅首相、崩壊した再選戦略

 菅義偉首相が自民党総裁選の立候補断念に追い込まれた。党役員の顔ぶれを刷新することで局面の打開を狙ったが、求心力が急落して人事に着手することすらできなかった。菅氏が受けて立つ構図だった総裁選は様相が一変し、空席となった「次の首相」の座をめざし候補者が乱立しそうだ。

「絶対やらない」 選対委員長を固辞した二階氏側近

 3日午前11時半過ぎ、自民党本部で開かれた臨時役員会。普段は座ったまま行う冒頭のあいさつで、首相はおもむろに立ち上がって切り出した。

 「総裁選に出ずに、自分の任期中はコロナ対策に専念したい。ついては、お願いしていた役員人事を撤回したい」

 会議室は、水を打ったように静まりかえった。総裁選への立候補を正式に表明し、その2時間後に予定されていた総務会で党役員人事の一任を取り付ける。その皮切りになるはずだったあいさつで、首相自ら「退場」を表明したのだ。

 首相は役員会の直前、二階俊博幹事長と加藤勝信官房長官の2人には「不出馬」の連絡を入れていた。だが、ほかの側近や政権幹部らは一様に「寝耳に水だった」と話した。

 首相の求心力はすでに急降下していたが、なお反転攻勢の機を探っていた。6日に党四役をすべて交代させ、内閣改造も一部検討し、イメージを刷新して党内外の支持を再獲得する。そのために、自身の後ろ盾となっていた二階幹事長をも外す決断を下した。

 具体的な人事構想も進めていた。知名度の高い議員や若手、党内ににらみの利く実力者らの起用を想定し、石破茂元幹事長や河野太郎行政改革相、小泉進次郎環境相萩生田光一文部科学相らを要職に充てようとしていた。2日には周辺に「人事はやる。その先のことは、また考える」と決意を語っていた。

(後略)