「演説に会場が涙 サーロー節子さん、核廃絶求め72年」

 以下、朝日新聞デジタル版(2017年7月9日01時00分)から。

 ヒバクシャの訴えが、世界を動かした。米ニューヨークの国連本部で7日採択された核兵器禁止条約。むごたらしい被爆者の体験と悲痛な叫びが、新たな国際ルールに結実した。ただ、核保有国や日本政府は署名しない方針で、核廃絶への取り組みは道半ばだ。

 「亡くなった数十万の人々。彼らはみな、それぞれに名前を持っていました。そして、みな誰かに愛されていました」
 核兵器禁止条約採択後の7日午後(日本時間8日早朝)、米ニューヨークの国連本部。カナダ在住の被爆者、サーロー節子さん(85)の力強い声が響く。
 「私はこの日を70年以上待ち続けていました」
 明瞭で、訴えかけるような英語のスピーチに、各国代表やNGO関係者らがじっと耳を傾ける。
 これまでの核抑止政策を失敗と断じ、「我々は取り返しのつかない環境汚染を繰り返しません。将来世代の命を危険にさらすことを続けません。世界各国の指導者たちに懇願します。もしあなたがこの惑星を愛しているのなら、この条約に署名してください」。
 最後は、こう締めくくった。
 「核兵器はこれまでずっと、道徳に反するものでした。そして今では、法律にも反するのです。一緒に世界を変えていきましょう」
 会場はほぼ総立ち。盛大な拍手…


 (後略)

(ニューヨーク=久保田侑暉)