衆議院予算委員会の閉会中審査を観た

amamu2017-07-24


 衆議院予算委員会の閉会中審査を観た。
 野党議員が安倍首相に対して、加計学園構造改革特区において獣医学部を新設したいという申請をおこなったことを知ったのはいつかと質問をした。これに対して、安倍首相は、2017年の1月20日、すなわち加計学園に決定したときだったと答弁した。
 安倍首相と加計孝太郎理事長は、ゴルフをともにしたり、会食をしたりする、長年の友人である。
 野党議員の質問によれば、2016年にわかっているだけでも、安倍首相は加計孝太郎理事長と7回、ゴルフや会食をともにしたという。安倍首相によれば、これらの会食は、常に割り勘ということではなく、奢ったり、奢られたりしたこともあったという。


 安倍首相のこの発言を聞いて私は唖然とした。


 ゴルフ後の飲食代が賄賂だとけち臭いことを言っているのではない。これが本当だとしたら、仕事の仕方として、そして危機管理能力として全くなっていないと思うのだ。

 長年教師をしてきて思うことのひとつは、教育現場においては、当然のことながら、業者とのつき合い方には、節度が求められるということだ。人格高潔でなければならないということである。
 研修旅行をお願いする旅行業者や、制服や教材販売などを担当してもらう出入りの業者とのつき合い方においては、利益誘導・贈賄はもちろん、そのように勘ぐられないよう、節度ある接し方が求められる。こんなことは言うまでもないことだが、生徒・保護者から問われればもちろんのこと、問われなくても、学校として常に説明ができるように明らかにしておかなければならない。公明正大でなければならない。もちろん、接待として業者に飲食費用をもってもらったり、高額な贈答品をもらったりすることが許されるはずもない。仕事の仕方として、病院等でも、今やこれは常識化しており、官公庁も同じであろう。
 
 これが、大学新設となれば、大学にはいる私学助成金をはじめ、数字の桁が違う。
 獣医学部をつくろうという理事長が長年の友人であれば、なおさら、政治家として、襟を正して、仕事の「段取り」としても「内容」としても、疑われないようにしなければならない。仕事の仕方として、これらは常識であるが、本日の答弁を耳にして、安倍首相に、まず仕事に関する国民的常識が理解できているのか、「段取り」としても「内容」としても、真っ当な仕事ができる能力、そして危機管理能力があるのか、根本的な疑問をもたざるをえなかった。


 安倍首相は、国家戦略特区諮問会議の議長である。
 にもかかわらず、幾度となく野党議員から問われても、申請はもとより、加計孝太郎氏が獣医学部をつくりたいということを、2017年1月20日まで知らなかったと、本日の閉会中審査で断言した。

 安倍首相個人は一貫して否定しているが、内閣上層部が組織ぐるみで、岩盤規制にドリルで穴を開けて加計学園だけを通したとなれば、「加計学園ありき」となり、これはこれで政治の私物化であり、大スキャンダルである。これを否定できる材料は少ないようだが、2017年の1月20日まで知らなかったという答弁は全く信じがたいけれども、仮にそうだとしたら、それはそれで、そんな無責任な仕事の仕方があるだろうか。否定すればするほど、今度は、そんな無責任な”リーダーシップ”ってあるのだろうか、深刻な疑問が残らざるをえなかった。
 否定するにしても、否定しないにしても、どっちにしても、真っ当な仕事の「段取り」「内容」*1として、不合格をつけざるをえないではないか。


 徹底究明のためには、加計孝太郎理事や安倍昭恵首相夫人の証人喚問は、不可欠である。そして、本日の審議では全く話題になっていなかったように記憶しているが、下村博文氏の200万円の問題はどうなったのか。
 本日の答弁を聞いていても、丁寧に説明するという安倍首相の説明は説得力を欠いたままだ。
 国民感情をきちんと受けとめないこうした説得力を欠いた答弁であれば、首相自身が気にしているであろう支持率は、安倍首相の意に反して、ますます下がるだろう。
 そうした意味でも、安倍首相の危機管理能力には問題があると思えてならない。
 

*1:仕事の「内容」としては、なぜ加計学園が国民にとって良いのか、国民として加計学園を選択すべきなのか、説明内容がなく、さっぱりわからない。