「米NBC、朝の情報番組の「顔」をセクハラ疑惑で解雇 大物司会者」

以下、BBC(2017年11月30日)より。

NBCは29日、朝の情報番組の「顔」で、米テレビニュース界で最も有名なキャスターの1人、マット・ラウアー氏をセクハラ疑惑で解雇したと発表した。

「ザ・トゥデイ・ショー」を司会するラウアー氏についてNBCは、「27日夜に同僚から、マット・ラウアーによる職場での不適切な性的行動について、詳細な苦情を受け取った」、「その結果、解雇を決定した」と声明を発表した。

NBCは、ラウアー氏の問題行為は「一度きりのことではなかったと考えるだけの根拠がある」と説明した。

NBCのアンディー・ラック会長は、NBCがラウアー氏を採用してから20年以上になるが名物司会者の問題行動について苦情が出たのは初めてだと述べる一方で、「この会社の行動規範に明らかに違反するものだった」と話した。

29日朝の「ザ・トゥデイ・ショー」冒頭で、他の司会者たちがラウアー氏の解雇を発表した。その数時間後には、米芸能業界誌「バラエティ」が、ほかにも複数の女性がラウアー氏によるセクハラ行為を訴えていると報道した。同誌は、匿名の消息筋の話として、ラウアー氏が女性同僚に局部を見せつけたり、出張中に複数の女性スタッフをホテルの部屋に呼び入れたりしたと伝えた。またオフィスの机の下には、立ち上がらずにドアに鍵をかけることのできるスイッチを設置していたと書いている。

ラウアー氏は、自分に対する疑惑に反応していない。

ラウアー氏は昨年、NBCとの契約を更改。年俸2000万ドル(約22億円)とも言われている。

朝の情報番組の司会のほか、2016年大統領選ではドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏の討論会の司会を務めた。

「ザ・トゥデイ・ショー」の共演者サバンナ・ガスリー氏とホダ・コトブ氏は29日朝の番組冒頭で、「今日は『トゥデイ』とNBCニュースにとって悲しい朝です」と切り出し、自分たちは「打ちひしがれている」、「何が起きたのかまだ受け止めきれずにいる」と、共演者の解雇を発表した。

ガスリー氏はさらに、「私はマットのことを思って心が砕けてしまっています。大事な大事な友達でパートナーで、ここでは大勢に愛されてきました。そして私は、自分に何があったか語るために立ち上がった勇敢な同僚と、ほかにも語るべき経験をした女性たちのためにも、心が砕けてしまっています」と述べた。

その上でガスリー氏は、「あまりに多くの組織が経験しているこの自己点検の動きは、重要なもので、遅すぎたほどです。そしてその結果、すべての女性が、すべての人が、安心していられる、尊重されていると感じる職場づくりにつながらなくてはなりません」と強調した。

米紙ニューヨーク・タイムズは、ラウアー氏に対する苦情を申し立てた女性の代理人だというアリ・ウィルケンフェルド弁護士の話を報道。それによると、女性とウィルケンフェルド弁護士は27日にNBCの法務と人事担当と数時間にわたり面談したという。

トランプ米大統領は、ラウアー氏解任が発表されるとただちにツイートし、「うわあ、マット・ラウアーがついさっき、『職場での不適切な性的行動』を理由にNBCをクビにされた。でもいつになったら、あんなにフェイクニュースをまき散らしたNBCコムキャストの幹部はクビになるんだ。アンディー・ラックの過去を調べろ!」と書いた。

米テレビニュース界のセクハラ問題では、同じNBCの重役でラウアー氏との仕事が多かったとされるマット・ジマーマン氏が不適切な行動の疑いで解雇された。昨年10月には、トランプ氏が2005年に女性の性器をわしづかみにすると発言したビデオが浮上し、トランプ氏とそのやりとりをしていたビリー・ブッシュ氏が「ザ・トゥデイ・ショウ」から降板させられている。

またCBSニュースの大物キャスター、チャーリー・ローズ氏が21日にセクハラ疑惑で解雇されたばかり。フォックス・ニュースは今年4月、セクハラ疑惑のかけられた名物司会者ビル・オライリー氏を解雇している。

(英語記事 Matt Lauer: NBC sacks star Today Show host over sex allegation)