「テレビ朝日、財務省に抗議文「セクハラが相当数あった」」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年4月20日00時03分)から。

 テレビ朝日は19日、財務省福田淳一事務次官を取材した女性社員がセクハラの被害を受けたとして、同省に抗議文を提出した。福田氏は同日、改めてセクハラを否定。財務省は調査を続け、テレ朝から聞き取りもする方針を示した。

 抗議文では「取材の過程で福田氏からわいせつな言葉などセクハラ行為が相当数あった」「女性社員は精神的に大きなショックを受けている」と指摘。「社会的に責任の重い立場にある福田氏が、優越的な立場に乗じて行ったセクハラ行為は到底看過できるものではない」とし、徹底的な調査と結果の公表を求めた。

 同社によると、女性社員は1年半ほど前から取材目的で福田氏と会食するたびに、セクハラを繰り返された。身を守るために会話を録音し、セクハラの事実を報道すべきだと上司に相談したが、二次被害のおそれを理由に難しいと言われたため、週刊新潮に連絡。取材を受け、録音の一部も提供したという。

 これに対し、福田氏は19日朝、自宅前で記者団の取材に応じ、「テレ朝がどういう調査をされたか知らないが、全体としてみると、そういうことではないということだ」として、改めてセクハラを否定した。

 辞任を表明した18日には「あんなひどい会話をした記憶はない」と述べ、やりとり自体を否定していたが、19日は「全体を申し上げれば、そういうものに該当しないのは分かるはず」と言い方を変えた。

 財務省は、顧問を務める弁護士事務所に委託した調査を続ける方針。同省の矢野康治官房長は19日、「福田次官は裁判までする覚悟だ。事実認定をしていただく必要がある」と語った。

 政権内の見方は厳しい。公明党北側一雄・中央幹事会長は19日の会見で「財務省の行政文書の改ざんが大きな問題になっているなかで、(事務方)トップがこのような事態になっていることは極めて遺憾。弁明の余地はない」と批判。野田聖子総務相も「権力を持った人たちが下位の人たちに高圧的な態度をとることが、人権問題として許されていないという国際社会で当たり前のことが認識されていなかった」と指摘した。

 週刊新潮編集部は19日、「被害現場の飲食店を特定するなど、様々な検証を経た上で真実と確信し、報道しました。この期に及んでも福田次官がセクハラ行為を否定していることに驚きを禁じ得ません」とのコメントを発表した。

 テレビ朝日の抗議文(全文)は次の通り。

     ◇

                               2018年4月19日

財務省

大臣官房長 矢野康治殿

                             株式会社 テレビ朝日

                             取締役報道局長 篠塚浩

         貴省事務次官による当社社員へのセクハラ行為に対する抗議

 今般、当社の女性社員から、貴省福田淳一事務次官への複数回の取材において福田氏からセクシャル・ハラスメントを受けたとの申し出がありました。当社として調査をしてまいりましたが、取材の過程で福田氏からわいせつな言葉などセクハラ行為が相当数あったと判断いたしました。女性社員は精神的に大きなショックを受けております。

 財務事務次官という社会的に責任の重い立場にある福田氏が、優越的な立場に乗じて行ったセクハラ行為は、当社として到底看過できるものではありません。またこのようなセクハラ行為は正常な取材活動による国民への的確な情報提供を目的とする報道機関全体にとっても由々しきことと考えております。

 ここに厳重に抗議するとともに、貴省として徹底的な調査を行い、早急にその結果を公表するよう求めます。

                                      以上